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『ピュアラブ? スペイン産の食用オイルか何かですか?』

『はい? 錦に電話したら会話を初めて五分で切られた? 電話口で破廉恥極まりない事でも話していたのでしょう? え? 違う? ははぁ……つまり、それは照れているんですよ。錦が可愛くて仕事が手につかない? 面倒くさいから、早退してさっさと錦とベッドインすれば良いでしょう? 貴方、偶に良く分から無い事でいきなり電話してきますね。自慢させてほしい? 貴方が自慢しなくても、あの子が優れている事は知ってます』 出先なのだろう。 電話の向こう側は少しざわついている。 「若狭さん、気軽にベッドインとか言わないでください。一つ屋根の下で過ごして今日で四日目ですが、キスもしていないんですからね」 『え? まだ何もしていないのですか? そんな友人と賭けていたのに。この私が負け? ……まさか、貴方、不能なのですか?』 何てやつだ。失礼のオンパレードだ。 不能どころか、海輝の海輝君は活火山状態だ。 「不特定多数と挨拶代わりに一戦交える貴方と違い錦君と僕はピュアラブなんですから」 『ピュアラブ? スペイン産の食用オイルか何かですか?』 失礼過ぎる。 ピュアラブと言えばピュアラブだ。

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