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天使かっ天使降臨か!!! 何万ボルトあるんだ? 眩しいい

彼くらいの年齢の子は二十四時までは平気で起きていそうなものだが、錦は早寝早起きを習慣にしていた。 彼が小学生の頃が二十三時までは――母親の帰りを待つ為なのだが――普通に起きていたと記憶がある。 しかし、今は若狭の元で生活をしているのだ。 生活の変化が生じたのだから体内時間の変化もおかしなものではない。 小学生の彼に「七、八年は待つ」と宣言した通り、体が成長し食べ頃になるまで待ったのだ。 当時は冗談交じりで話していた訳だが、現実に変わり今に至る。 多少のつまみ食いはしたが、完食はしていない。 時間を気にせずに二人きりで過ごす夜は久しぶりだ。 当然ベッドであんな事やこんなことをするつもりだったのだが、肝心の相手が寝ている。 それにしても、寝るの早くないか。 青い猫型ロボットが登場する、アニメの眼鏡キャラと良い勝負だ。 早寝早起きは大いに結構。 結構なのだが、海輝のとって多少の不都合も有る。 「錦君は寝てるから静まれ、海輝の海輝君」 そんなことを言っても、静まるはずは無い。 今まで、欺し欺し言い聞かせてきたのだ。 ――錦の眠りを妨げるような蛮行だけはしたくはない。 心地良い重さと温もりを肩に感じ見下ろせば、ついに睡魔に負けた錦の安らかな寝顔。その眩しさに両手で眼を覆う。 「うっ!! 可愛いっ!!! 天使かっ天使降臨か!!! 何万ボルトあるんだ? 眩しいい」 あどけない寝顔はいつまでも変わらない。 蕾の様な唇を緩ませて、小さく寝息を立てている 安心しきって海輝に身を委ね姿が愛おしかった。 なんだかとても懐かしく感じた。

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