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はっきり言おう。無駄な抵抗だ。

「代わりに僕が聞いとくから寝なさい」 「駄目だ」 横に転がり、錦の頭を撫でる。 さらさらと指を抜ける髪の毛が気持ち良い。 必死に起きようとはしているが、錦が再びうとうとする。 あと一分以内に寝るはずだ。 等と思っていたら、錦ははっとした顔になり海輝の腕を掴む。 そして撫でようとする手を止めた。 まさか、そう来るとは。 「お前を一人残して寝るなんてできない」 「優しいねぇ。でも僕君の寝顔見たいな」 「眠くない俺は眠くない」 「一緒に寝ようよ」 「誰が寝るものか。俺は眠くない。これっぽっちも眠くは無い」 今度は己に暗示を掛けているようだ。 はっきり言おう。無駄な抵抗だ。

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