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「他の誰にも負けたくない」
「もう、意地張るのは止めなさい。はい、寝るよ」
「意地じゃない」
意地でないなら何だと言うのだ。
随分と決意が固いようで頑として首を縦には振らない。
呆れ半分、もう半分は面白がりながら頬をつつくと、嫌そうに手を祓われる。
「これは、けじめだ」
「おや、けじめと?」
「海輝に新年の挨拶をするから、起きてる」
「明日の朝言えば良いのに」と言えば鼻で笑われた。
ここは馬鹿にされるところなのか。
「日を跨いだその瞬間に言う」
「錦君」
「だから起きてる。他の誰よりも早く海輝に挨拶する」
「君は常に僕の一番だから寝なさい」
「いやだ寝ない。お前がもてることは八年前から知ってる」
「この会話の流れで何だい」
「他の誰にも負けたくない。だから、お前に一番に挨拶する」
二度目の宇宙猫状態である。
もう、銀河が大爆発し海輝まで黒焦げ状態だ。
要するに、カオス一歩手前である。
あまりの、衝撃に言葉が出てこない。
可愛いどころの話では無い。
コイツ、致死量超えた可愛さで僕の心臓を止める気だ。
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