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「この俺が敗北など……」「何と戦ってるんだい」
「ここまで素直になるとは」
「俺は何時も素直だ」
しかし、錦に無理をさせたくは無い。
「ちょっとコーヒーを入れてくる。待っていてくれ」
「いや、こんな時間からコーヒータイムはやめようよ」
コーヒーが苦手な癖に何言っているんだ。
なんだこの子は、可愛いの国からやって来た可愛いの妖精さんか。
「この俺が敗北など……」
「何と戦ってるんだい。君は世界一可愛いし世界一僕に愛されてるのに、敗北などあるものか。ハイっ寝るよ」
セックスしたくてたまらなかったけど、錦の顔を見ていると何だか性欲と言うものが下らないと思えて来た。
スーパークールで意地っ張りな癖に。
海輝にだけは甘く必死なこの子が可愛いくて仕方がないのだ。
そんな相手が居る事が幸せなのだから。
肌を合わせている訳ではないのに、満たされていた。
錦に対してだけは、夢と純粋さを失ってはいないのだ。
錦は海輝だけが自分を満たせると言った。
それは、海輝も同じだ。
――僕も寂しかったのか。
だから、側にいるだけで満足しているのだ。
錦が居ることが分っていたから玄関を開く瞬間が、何時も待ち遠しかった。
海輝は溶けそうな顔で微笑む。
「今日はゆっくりしよう。明日はさ。一日イチャイチャして過ごそう。だから、ね。寝よう」
可愛い恋人が無防備な姿で居る事に、安らぎを与えられたという喜びを覚え満足をするとは。聖人になった気分だ。
欲望よりも、尊いことを見つけ何だか得した気持ちになる。
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