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もう遅い。*性描写あり
「んっんん……はっはぁ」
「いたく、ない?」
きゅっと瞳を閉じ衝撃を耐えている錦が小さく頷く。ドキドキする。心臓が破裂しそうだ。
息を詰め腰が砕けそうになるのをやり過ごす。
進んだようで進まない。あと少しで根元まで辿り着くが、異物を拒む粘膜のうごめきが強い。
――やばっでるかも。
少し体重をかけて押し込めば進めるが、戸惑いに動きが止まる。
「はっ。そんないやらしい顔で見下ろすな」
錦が片頬を上げるように笑う。これが抱かれている人間の顔か。
こんな時に挑発的に笑うのは危険すぎる。
海輝の首に両手が回され力がこもる。
「キスのお強請りかな? 舌だして」
錦に導かれるまま顔を近づけてそっと唇を重ねる。
海輝、と言い必死にたぐり寄せる。
「抱っこ?」
うん、と小さく頷く。
こんな可愛いお強請りを聞かない男はいない。
居たらそいつは男では無い。
膝から手を離して錦を抱き返すと、眼を細め笑う。
まさか。
「いや待ってちょっ」
彼の目的を気づいたときはもう遅い。
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