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第3話

「そう言えば、かなちゃん。あの課題やった?」 「…やってない」 「あー、知ってた。じゃ今日うちくる?」 「行く」 「じゃ決まり」 昼休憩も終わり、午後の授業も無事に終わったのだが、帰る直前はいつも女子が優也の周りに群がり、今回ばかりは逃がさないと押しが凄かった 勉強を教えろだかなんだか言って、どうしても優也を引き留めたいようだ そんな女子たちに嫌気が指した奏斗は 「俺先お前ん家行ってるから、じゃ」 その言葉に女子らが一斉に反応し、狂ったように優也に言い寄った 「榊君、あいつを家に呼んだの?」 「あんな嫌な奴と関わんない方がいいよ」 「そうだよ。あんな奴より私とあそぼーよ」 「あ、いやその、今日は…またの今度に… まって!奏斗!今行くからまって!」 遠くで優也が何か言っていたが、奏斗はその場から一刻も早く遠ざかりたかった 逃げるように足早に教室を出て、これでもかと強くドアを閉めた 「…きしょくわりぃ」 奏斗にとって優也は友達だが、こういう時ばかりは我慢ができなかった 優也に群がる女も、それを断りきれない優也の事も。見ているとイライラしてくる 気持ち悪い 「…あ、兄さん」 門を出るときに、まるで待ち伏せでもしていたかの様に昌に出会した 「今日は一人?もう帰るんでしょ。だったら一緒に…」 「いや、このまま優也の家行くから。夕飯要らないって言っといて」 「え、だって今日は…」 「もー!奏斗っ!待ってって言ったのに…あれ?もしかして弟君?何か大事な話?」 「あ、いえ…」 門の前で昌と言い合っていると、きっと走ってきたのだろう息を切らした優也が追い付いた 正直優也が来てくれて良かったと奏斗は思った。昌は優也が目の前に出てきた途端、顔を伏せてしまい面倒な会話は強制的に終わった 「じゃ今日は帰らないから。よろしく」 「…」 何故だか知らないが他の人の前ではあんなふうに黙る事は無いのに、優也となると昌は人見知りがでる。まぁ、今回は助かった 「ねぇ僕…弟君に嫌われてるのかな。帰り際に凄い睨まれた」 「お前じゃなくて俺を睨んでんだよ」 「そうかなぁ」 納得がいかないという顔をしながらも反論のしない優也に奏斗は気分が良くなった しかし、ふと目を優也に向ければ、腕には花やラブレターが抱えられていたのを見て急激に冷めていった 「うげ、女共も飽きないな。毎日毎日」 「…ごめん、気分悪くしたよね」 「いやいいよ。別にそこまで気にしてない」 「これもそうだけど…さっき女子達が言ってたこと」 「あんなんいつものことだし」 「なんか辛いことあったら言ってよ?本当に…。僕、かなちゃんは大事なんだから」 「あっそ」 それから、高校からは少し遠い優也の家までは会話とは言えない程の話しかしなかったが、奏斗は自分のペースに合わせてくれる優也が素直に嬉しかった

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