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第4話

「ただいまー」 「お帰りなさい。あら、奏斗君も。こんにちわ」 「お邪魔します」 あれから電車で帰ってきてようやく優也の家についた いきなり訪問をしても、温かく出迎えてくれる優也の家族に感謝を感じるも、正直に物事を伝えれない奏斗は軽い会釈程度で済ましてしまう だが、奏斗は小さい頃からよく家に来ていたため、優也の母はもう慣れたのか特に気にすることもなく無愛想な奏斗を受けいれてくれるのだ 「ねぇ母さん。かなちゃん今日泊めてっていい?」 「いいけど、明日も学校だから夜更かしはしないでよ」 「ありがと、おばさん」 「いいのよー。お腹減ったでしょ?今ご飯用意するからねー」 そのままリビングまで向かい、当たり前かのように奏斗用の食器が用意される。高校生になって家を訪ねる頻度が特に増えたので、優也の母が用意してくれたものだった 何から何まで申し訳ないと言う気持ちはあるのだが、その優しさにどうしても 甘えてしまう 「おっ?奏斗じゃないか。お帰り」 「え!奏斗兄ちゃん来たんだ?いらっしゃい!」 「ただいま、おじさん。美月、邪魔するぞ」 リビングに入れば、まったりテレビを見ていた父と、その声に反応した優也の妹、美月(みつき)が出迎えてくれた お帰り その言葉が何よりも心地が良い 実の息子のように接してくれる優也の両親と、本物の兄弟のように慕ってくれる美月。 そして自分のことを大事に思ってくれる優也 皆で食卓を囲み、温かい夕食を皆で食べる 不思議な事に、奏斗にとってこの空間は自分の家よりも温かく感じるものなのだ 「ヤバい、食べ過ぎた」 「欲張って食うからだろ。俺のおかずまで食べやがって」 「かなちゃんだって少食な癖に無理して食べようとしてんじゃん」 「だっておばさんのご飯、凄く美味しいんだもん」 「あらやだ、奏斗君。誉めたって何も出ないわよ」 とは言いながら、冷蔵庫から奏斗の好物のプリンを出してくれた 「もー母さん!かなちゃんばっか可愛がって…」 「うるさいわね。奏斗君の方が可愛いんだから仕方ないわ」 優也と母は言い争って、いつもどおりにエスカレートしていくのだが、無意識のうちに笑みが溢れている奏斗を見れば、たちまち喧嘩は収まり、結局全員で食後のデザートを楽しむのだ 「結局ゲームしちゃって、課題出来なかったね」 「いいよ別に。楽しかったし」 優也の部屋。いつも落ち着く匂いがしていて奏斗のお気に入りの場所だ あれからずっと優也達と遊んだりしていつの間にか時間が過ぎていた 考えれば考えるほど思いだし笑いが込み上げてきてしまう 「…その笑顔、皆にも見せればいいのに。そしたら皆、奏斗のこと好きになるのにさ」 「なんで?俺は今のままで十分だよ」 いつの間にか口調は柔らかいものとなっていた 昔はこんな思いをすることなど無かったから これ以上などと、欲張りはいわない この時間が変わらずにこれからも続くことを奏斗は願った

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