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第10話

……………夢を見た…………… 懐かしい夢だった 母がまだ家にいた頃。 確か小5までは家にいたはず。 小さい頃から父には暴力を、母にはネグレクトを なかなかに不幸な家庭に生まれてしまった奏斗は自分ではどうしようもなくて、ただ耐えるしか無かった地獄の日々。 父の暴力はその時が1番酷かった。力もないため、抵抗できない奏斗を痛めつけるのが、きっと楽しかったのだろう 殴る蹴るはいつものこと 1番辛かったのは熱したアイロンを背中に押しつけられたとき 皮膚が焼け爛れていく感覚と、溢れた血が熱に踊らされ、じゅうじゅうと音をたてる 気絶するまで続く痛みは、起きた後も痛みと熱に魘され呼吸するのもままならなかった 喉から叫び声が響く中で、確かに母を呼んだ。 だが、母は俺をじっと見つめるだけで、一向に助けようとはしなかった 両親のおかげで傷だらけの体と、栄養や睡眠がまともに取れず、小さいままの身長。ガリガリに痩せ細った体。 そんな不気味な見た目をしていたものだから、学校ではいじめられ、教師は俺を煙たがり、当然居場所なんてなかった 時々、児童相談所の人が来た事はあったが、外ではいい親ヅラする父の甘いマスクに皆騙されて帰っていった 母はというと、暴力は振るってはこないものの、育児放棄が酷く、奏斗はいつも腹を空かせ、ボロボロの衣服をまとっていた そんな母とまともな会話をした記憶はあまり無い。 ただしっかりと覚えているのは毎日のように聞かされた呪いの言葉 「お前なんて、産まなきゃよかった」 その言葉は母がいなくなった後でも奏斗に重くのしかかり、ずるずると引きずる足枷になっていた いつしかそんな事が当たり前のように思えて 何も感じ無くなって でも終わりは突然なものだった その日は何故か母が優しくしてくれて 自分のことを好きになってくれたんじゃないかって浮かれて 母の手をとった 車で家を出たのはいいものの、1時間、2時間経っても車は止まろうとはしない。 どこに行くのか聞いても母は何も答えず黙ったままだった 日が暮れた頃にようやく車から解放された そこは人気のない小さな公園だった ふと、公園の隅にあるゴミ溜まりの中にボロボロのクマのぬいぐるみを見つけた そしてそのクマに気を取られている隙に母は車ごといなくなっていた どこを探せど母の姿は見当たらず、奏斗はこんな状況になってやっと 自分は捨てられたのだと気がついた

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