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第13話

……コンコン…… 朝同様、ノック音で我に返る 時計を見ると午後6時 我ながらにもの凄い集中力だ 「奏斗。でておいで」 聞こえてきたのは父の声 とてもおおらかで柔らかい口調だ 小さい頃はよくこの声に騙されて、部屋の鍵を開けてから後悔したものだ この声を出す時は、することは決まっている 下手に刺激せず、ただ言う事を聞けばいい それだけだ カチャン 父に言われた通りに部屋の鍵を開け、自分から外に出る 威圧感のある父を前にして自然と身体が強張る 「今日は晶は友達の家に泊まるらしい。 朝まで、2人きりだね」 最悪だ このタイミングでいなくなった晶を心底怨む まさか嫌がらせのつもりなのか 「…奏斗っ」 熱っぽい声で奏斗の名を呼ぶ父の手が頬に伸びる 俺は本当についていないな 頬を撫でる手は頭をがっしりと掴んで離さない そしてそのまま、父は奏斗に口づける 「……っ」 2人しかいない廊下にくちくちと卑猥な音が響く 抵抗しようにも頭を押さえられ振ることすらできない 息を吸うため薄く口を開ければ父の舌が口内に入ってきて、遠慮なく中を掻き回す こんなものはもう慣れた はずなのに、背中がぞわぞわと疼いてやまない 「…奏斗は可愛いね。さあ、部屋に行こう」 そう言って手を取り引き摺るように部屋まで行く その部屋に入れば奏斗は人ではなくなる 父の愛好道具になって喜ばせないと出ることはできない いつも悪夢を見る父の部屋

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