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第15話

グチュグチュと部屋中を反響する音は 嫌というほど奏斗の耳にしっかり届く それが嫌いで耳を塞ぎたくとも、両手を後ろに縛られてそれすら叶わない もう何時間経っただろうか 疲れ果てた奏斗を無理矢理起き上がらせてまで父は事を続ける 「奏斗のここはいつまでたってもキツいままだね」 「あっ…ん、んあ」 縛られた手首の感覚はとうにないのに、快感だけは強く拾ってしまう こんな体が心底嫌いだ 傷だらけで細く、病的な程に白い 父はこんな奏斗の体のどこが好きでこんなことするのだろうか それだけは未だに理解できない 「奏斗は可愛いね。でも、昨日の事、まだ許してないから」 急に低く、そう言い放った父は奏斗の背中を触る そこにあるのは昔出来た火傷の痕だった 「とおさっ…やめて…おねがい」 その傷にもう痛みなどない 触られても血もでない それでも奏斗にとってその傷痕は完全に治ろうとも、一生分のトラウマなのだ 少し触っただけでも体が震えて心臓がうるさく鳴り響く 「とうさん!ごめっ…ごめんな さっ…!」 声も震えて上手く言葉にできないが、それでも必死に父に許しを請う 父は聞こえてるはずなのに、その手をどかしてくれない 冷たい目でただ見ているだけ 「とう…さ…いたい、いたいよっ たすけて…」 普段の奏斗とは想像つかないほど怯えた声で父を呼ぶ もちろん痛みなどない そうとわかっていても、父が触れるその手から、ジリジリと焼けていきそうで怖かった いつしか呼吸も忘れて、ひゅっひゅっと喉が鳴り始めた頃にようやく手を離してくれた 「可哀想に。ほら、おいで」 先程とは打って変わって優しい目つきで奏斗を見る いつの間に出したのだろうか 奏斗の手を引き、起き上がらせた際に尻からどろりと不快なものが流れ出る 奏斗はそんなことに気づくことなく、呼吸を整える事で精一杯だった 誰でもいい 誰かの温もりが感じたくて父に縋りつく 傷をつくったのは父だ。 今こんなに恐怖で震えるのも父のせいだというのに。 そうだとしても父は奏斗にとって、たった1人の家族でもあった これも依存だというのだろうか 父はこういうときばかり優しく接してくるものだから いつかはきっと改心してくれると淡い期待を持ってしまう 涙が止まり、やがて泣き疲れ寝てしまっても、父は奏斗を抱きしめ続けていた

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