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第22話
目を覚ますと、そこは知らない天井だった
顔を少し動かして確認する
自分はベッドに寝かせられ、周りには景色を遮断するカーテンがかけられていた
どうやらここは保健室のようだ
泣き疲れ寝てしまった奏斗を優也がここまで運んでくれたのだろう
奏斗は体を起き上がらせる
軽いめまいと怠さを感じたが、深呼吸をするといくらかマシになった気がした
「…起きた?」
いきなり声をかけられ、奏斗はびくりと肩を揺らした
声のする方に目線を向けるとそこにはなぜか、晶がいた
「な、んでお前がここに…」
「朝っぱらから、運ばれたっていうから。心配して来た」
椅子に座って本を読んでいたが、にんまりと笑ってゆっくりと立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた
カーテンの隙間から少し覗いていた晶は、カーテンを開けて自分が内側に入るとそっと閉めた
そのひとつひとつの晶の行動に神経を削られる
何を考えているのかわからない
何がしたいのかわからない
晶から滲むあの余裕ある顔が、警戒心と恐怖心を煽るのだろう
「ただの寝不足らしいけど、もしかして俺のこと考えてくれた?」
「………」
「おい、こっち見ろよ」
「いっ…」
いきなり何を言い出すのかと奏斗が無視を貫いていると、痺れを切らしたのか強い力で顔を掴まれた
それは痛みを感じるほどの力で、必死に抗ってはみるが、やはり力で奏斗は晶に敵いはしない
無理矢理目線を合わせられて咄嗟に視線を逸らす
だが、晶はそれが気に入らないのか
「こっちを、見ろ」
と、先ほどよりも強い力で顔を向かせる
だが、奏斗も引く気はなく、しまいには目を瞑って必死に抵抗した
「頑固だね。ま、いいや
そっちがその気なら」
急に空気の雰囲気が変わったが、奏斗は目を瞑り続けたため晶の様子は伺えなかった
だが、顔を押さえていた手の力が緩んだため、やっと飽きてくれたのだろうかと
そっと目を開けた瞬間
綺麗な、目
晶の目と、目があった
驚いている暇もなく、膨大な情報が頭を回る
異様に距離が近いし
唇に何か押し付けられているような違和感を感じる
そう、今奏斗は
晶と唇を重ねている
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