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第40話
「さ、始めて。」
その言葉を合図に奏斗はおずおずと口を近づける
父のモノとは全く違う形で戸惑ったが、とにかく今までやってきた通りにやるしかない
最初は舐めるだけ。しだいに口に含み始める
奏斗自身の愛液と優也の精液で濡れたそれを丁寧に舐め取っていく
生臭さと苦味が奏斗を襲うが、優也の手に抑えられているせいで口を離すことはできない
手に入れる力はどんどん強くなり、それと同時に奏斗の口も優也のモノで埋まっていった
「なんだ、フェラも初めてじゃないか。そりゃそうだよね」
ついに喉に到達し、息がしづらくなる
奏斗は頭を後ろに動かして父の時のようにしようとしたが、優也の手は一向に弱まらず、喉の奥にはピッタリと優也のモノが張り付いていた
「頭は動かさないで、そのまま。喉を使うんだよ、舌を動かして、吸ってみて」
「ぅぐっ、ごっ」
喉?吸う?そんなやり方、わからない。
父のをしゃぶる時は後は勝手に向こうがガツガツ動いてくれるから我慢するだけでよかった
だが今は頭をがっしり固定されて動かせない
そのせいで息苦しさは止まず、嚥下すると喉から嫌な音がなる
苦しい、息が…
父のやり方とは全く異なっていて奏斗はパニックに陥る
何をどうすれば優也が満足するのか。気持ち良くなってくれるのか
とにかくそれしか考えられない
言われた通りに吸ったり、舌を動かしたりしてみたが、いまいち合ってるのかわからない
現に優也の顔は変わらず余裕そうな表情で、まだイく様子は全くない
「下手くそ。そんなんじゃいつまで経っても終わんないよ」
「うっぐ、ん"ふっぅうぐ」
「あー泣かないで、頑張って」
生理的な涙が溢れる奏斗の頭を、優也はまるで赤子をあやすようによしよしと撫でる
優しい手つきに反して、この苦しみからは解放して貰えなくて、奏斗は余計に訳がわからなくなる
自分では一生懸命言われた通りやっているが、上手くできていないようでなかなかイってもらえない
「その調子、ん…さっきよりは上手くなってるよ」
「ぐぅっう"ぅ」
優也が何か言っているが、酸欠の頭では理解できず、ただただ必死に舌を動かし、喉で吸う
どれほどそうしていたか
長い間咥えさせられたまま動けず、あと少しで限界、というところで優也が動き始める
「…っイくよっ、奥に出すから、しっかり飲むんだよ」
「ん"ん"っ、んぐっ…ごっ」
そう言うと優也は自身のモノを一層深く押し込み、奏斗の喉の奥で果てた
その後、ゆっくりと奏斗の口から引き抜くが、奏斗がしっかり飲み込むまで確認してから手を離した
「げほっ、はっ、ごほっ」
「かなちゃん大丈夫?よしよし、よくできたね」
優也は咳き込む奏斗を優しく抱き込む
奏斗の肌と優也の肌が触れ合ってとても暖かく心地よい
とんとんと奏斗の息が整うまで背中を叩く
その間奏斗は息を吸うのに必死でされるがまま抱きしめられていた
「じゃあ頑張ったから、ご褒美あげようね」
「ごほ…び?」
「少し痛いけど、我慢してね」
「え…い"い"っ」
瞬間、奏斗の首元にちくりと何かが刺される
反射でそちらを見ると優也の手には、おそらく何らかの液体が入っていたであろう、空の注射器が握られていた
「かなちゃんの大好きな、気持ちよくなれるお薬」
「っ!?なんで、おれ、がんばったのに!なん…あ…」
「大丈夫。さっきよりは薄いから眠くならないよ。気持ちよくなるだけ」
「うそつき…うそ、つき…」
しだいに舌が回らなくなり、ふらつく奏斗を優也は抱き上げると、ベッドの上に降ろす
もちろん抵抗できる力は奏斗にはない
されるがまま、なす術なく。
奏斗の頭には強い快感だけが残った
ぼんやり見える優也の顔は、いつものように優しい笑顔なのに、どこか恐怖を覚える、そんな表情をしていた
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「あっ、んあっ…や、ぅうっ!」
「ここ、かなちゃんの好きなとこ?」
「あぅう!そこぉっ、やだあっ」
「我慢しないで」
「もおっ!イきたくなっ…ああ!」
それからは奏斗の意識は途切れ途切れになった
定期的に首に注射を打たれるせいで記憶は曖昧になり、まるで夢を見ているような気分になる
正常な判断など、到底できるものではなかった
今のようにベッドで優也に組み敷かれていると思ったら、気づくと優也に食事を食べさせられていたりする
それくらい、奏斗の意識を混沌させるほど薬の効力は強かった
「はい、あーん」
「…あ……」
「うん、上手」
優也が食べ物を運び、奏斗はなんとかそれを咀嚼して飲み込む
一口にかなり時間がかかるが、飲み込むことができれば、優也は必ず褒めてくれた
ときには吐き出してしまうこともあったが、優也は怒ることなく、頭をなでる
優しく、あたたかく
それはしだいに奏斗にとって至福となっていった
褒められるのが嬉しくて、頑張った分だけ優也は認めてくれる
そのうち奏斗は優也の行動に何一つ疑問をもたなくなった
優也が命令すれば、奏斗はそれに従うだけ
食事もフェラもセックスもやれと言われれば何でもやった
ペットのように、人形のように
それはある種の洗脳と言っても大差ないだろう
だが奏斗自身はそれすら異常だと気づけない
「ただいまかなちゃん、いい子にしてた?」
「…うん…」
「ご飯持ってきたから食べようね」
「…うん…」
時計も陽の光も入らないこの部屋からは一歩も出ることは許されない
あれからどのくらい経ったか、どれくらいここにいるかなど、知り得ることはない
ただ優也のお見送りをし、帰りを待つ。
奏斗にとってこの部屋の中では、優也が唯一の生きる意味となったのだ
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