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 ラムスやディアとの会話も負担にはならなかったし、きちんと座りながらヒロを抱っこすることができていたけれど、頭はのぼせたようにぼんやりするのに酷く体が冷えているのだとわかったのは、食事休憩中にヒロを風呂に入れてやろうとした際に、オレの指が冷たすぎてヒロが泣き出した時だ。  お湯で温めればその時は温もるけれど、どんどん体が冷たくなって行って……  その内に普通に座っていることができなくなって、寒さのために毛布にくるまっていたけれど体温が上がらず、けれど頭の中は煮えるように熱くて、クラドの言っていた熱と悪寒はこれだったのかと理解する頃にはヒロを抱っこして座るのが難しくなっていた。  それでも、ヒロをきちんとお風呂に入れて、あの石鹸で体を洗ってやらないと と思っていたのに。  震えが酷くて、  寒さが骨にまで達するようで、  それでも……と思ったところで意識が無くなってしまっていた。  触手に圧しかかられて、俺だけじゃなくてヒロまで危険に晒してしまったことを後悔したけれど、すべてが遅くて……  水の冷たさや、それに反して降り続ける雨の生温さなんてどうでもいいことを感じながら、助けて欲しい とただただ願った。  だから、もう駄目だ と思った瞬間に飛び込んだ来てくれたクラドの姿を見た時、小さい頃に見かけた戦隊ものの主人公を思い出した。  やっぱり、貴男はオレのヒーローなんだって。  オレがピンチになったら助けに来てくれたって言うのが本当に嬉しくて、嬉しくて、……だから、やっぱり、好き なんだなって……  泣きたくなるくらい、好きなんだって、叫びたくなったけど……  ────武勲を上げてクルオスに申し出るって!  ────結婚してこれ以上ないくらい幸せにするんだって!  ────嬉しくて……期待してたのに…………嘘吐き!  体は動かなかったけれど、ぽっと灯るように手が温もりに包まれていることに気が付いた。  瞼を開けることすら億劫で、でもオレの手を温めてくれる温もりが胸を締め付けるほど嬉しかったのに、鼓膜を震わせる怒鳴り声に呼吸を忘れてしまいそうになった。  その声が誰のものなのかなんて目を開ける必要もないのに、オレは一年ぶりにそこにいるとわかっているかすが兄さんの顔が一目だけでも見たくて、力を振り絞って重い瞼を開いて……これほど後悔するとは思いもよらなく……  肩を抱いて寄り添う二人の……  泣き叫ぶ体力が残っていなかったのがせめてもの救いと言うのがなんとも言えない皮肉だった。  森番小屋での一件の後にオレを掴まえて「家族になってはもらえないだろうか?」と尋ねて来たクラドの、照れたような緊張した表情を思い出して胸がキリキリと悲鳴を上げる。  それが、一瞬オレへの求愛なんじゃないかと胸をときめかせた瞬間もあったけれど、その言葉はオレへの求愛じゃなくてかすが兄さんとの結婚の承諾を求めるものだと気付いて、本当に苦しかった。

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