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 ゆったりとした動作でソファーに座り直すと、面倒そうな顔で俺とはるひの顔を交互に指差す。 「兄の妻に恋慕し、お互い満更でもないお前達はゴトゥス大遠征の名を借りて兄の目の届かぬ場所で蜜月を過ごし、土産を持って帰ってきた。だがそのままでは角が立つ、そこで弟の子とした と。出生時の日時を誤魔化すためにはるひには辺境まで行かせ……」 「違いますっ‼︎」   そんなでたらめを並び立てる陛下の言葉を遮ったのははるひの上げた大きな声だ。  ぶるぶると震える拳を作り、普段気弱で穏やかな顔を怒りで赤く染めた姿は、どこの誰が見ても演技とは言わない迫力がある。 「ヒロはクラド様の子ですし、自分が産みましたっ」 「男巫女は子を成せるが巻き込まれた只人は子を成せない。神がそう定められた」 「テリオドス領にはっ私の出産に立ち会ってくれた産婆もいます!同時期に、忌屋に入っていた人もいましたっ証拠ならそれで十分ではないでしょうか!?」 「それではお前は只人の身で子を産んだと言い張るのだな?」  青い瞳にぎろりと睨まれ、怒りで赤くなっていた顔から血の気を引かせながらはるひが頷く。  不安に押し潰されそうなのか、胸の前で手を握り締めてふらついたはるひの傍に駆け寄り、出来る限り安心させたくてぎゅっと抱き締めた。 「私ははるひ以外を愛した記憶はございません、これからもないでしょう。己の考えの浅さから軽率な行動を取り、王陛下を始め陛下にもご不快な思いをさせてしまった事は重々承知ではございますが、ヒロの出生に関して陛下の推論は余りにもな物言いかと思われます」  そう言って、可能な限りの力を込めて陛下を見詰め返す。  じろじろと陛下を見るのも、生意気にも陛下の言葉に物申すのもこれが生まれて初めてのことだ。  震えるはるひを支えると言う大義名分がなければ、陛下の正面に立って睨み返すなんてことは出来ないし、とっくに膝から床に崩れ落ちているところだろう。 「ヒロは私達の子です」  ぐっとはるひを引き寄せ、互いの心臓の音を聞きながらそうはっきりと言うと、陛下の細い眉が不機嫌そうに歪んだのが見えた。 「   ────では、  」  開きかけた口が途中で止まり、思案に耽るように微かに揺れて動かなくなってしまった。  「では」の言葉の続きを待ってはみたけれど、陛下はまるで言葉を忘れてしまったかのようにむっとした表情で顔を逸らしてしまう。  腕の中で、はるひが不安そうに俺を見上げた。   ◇  ◇  ◇  それでなくとも人との付き合いがうまい方ではないのに、クラドの父親……陛下と二人きりにされて、質素に見えて城の物よりも座り心地のいいソファーの上でもぞもぞと座り直す。

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