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 体中の痛みは発熱によるものだったのか。  脇の痛みを鑑みるに、渓谷に落とされた際に骨でも折れてしまっているのかもしれない。 「洗濯が終わったらすぐに痛み止めの薬草を煮ますから、待っててくださいね」  そう言ってはるひは俺を元の寝床に横たえると、俺が旅衣装に使っていたローブを掛け布団代わりにかけてから再び川の方へと走って行った。 「待てっ! はるひっ! ここはっ   」  ゴトゥスなのだから……と言おうとして口をつぐんだ。生活感が出ているために気づくのが遅れたが、俺はこの場所を知っている。  かつてはもっと人がいたから狭く感じていたのだけれど、二人だけ……いや、はるひ独りでいるならば十分に広い。 「そうか、ここはあの場所か……」  かすがが野営のために入念に手を入れた場所。  ならば俺が付きまとわなくとも安全は確保されているようなものだ。 「……はは、こんな所でも弟を助けるとは……さすがだな、巫女様」  つんとした表情のかすががふいに脳裏に蘇ったせいで思わず吹き出してしまった。  ひどく打ったせいで紫に変色した脇がその拍子にいたんだけれど、ここにはるひがいることに安堵の笑いが漏れるのを止められない。  ほんの少し前まであの笑顔に二度と触れられないと怯えていたと言うのに、のんびりとした鼻歌が聞こえてくることに…… 「……コリン=ボサよ、我らが唯一の神、コリン=ボサ」  拳を作って包み込み、額につけるのはコリン=ボサへの祈りの形だ、それをとって感謝の言葉を口に出す。  この世界の住人であり、王族と言う立場にいたにもかかわらずあまり熱心な教徒と言うわけではなかったけれど、今日ほどその存在に感謝の思いを捧げたことはなかった。  彼の神がいなくてはこの世は存在すらしなくて、世界に生命が満ちた後もその願いを叶えるために様々な奇跡を起こされる存在ではあるけれど、俺にとってはただそれだけの存在でしかなく、世界のための存在なのだと、そう言うものだと思っていた。    世の願いは聞くけれど大義の前に個人の願いは砂粒も同じなのだと。    けれど…… 「感謝します、感謝します……」  再びはるひに会いたいと言う願いを、奇跡を見せてくれたその存在にただただ心からの感謝の言葉を呟いた。  そのことに気づいたのは水音が変化した時だ。  ああ、洗濯が終わったのだ……と熱でぼんやりとした頭で考えていた先に体の痛みに気がついた。  脇腹でもない、もっと下の方からの痛みで…… 「  ────っ」  思わず羞恥で顔に血が集まってくる。  幾ら半分が獣なのだとしても、こうしてはるひと出会えた途端にこの反応をしてしまうこの体はどうにかならないものだろうか?

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