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「なるほど……はるひ、ちょっと頼んでいいか?」 「はい? お力になれるならなんだって」 「このナイフを、聖別してみてはくれないか?」 「え⁉︎」  思わず飛び上がってしまったのは、聖別を行えるのは当代の異世界の巫女のみと決められているからだ。 「変なことを言っているのは承知だ。だが、巫女の力を使えるはるひなら……」 「そ、そんなことして、いいんですか?」  不思議とできないと言う感情は湧きあがらなかったけれど、規則で駄目となっていることをしてしまうことに抵抗があった。 「ああ、当代巫女のみとなっているのは、巫女同士の浄化の力が反発するからだ」 「反発?」  よくわかっていないオレに、クラドは簡単に説明をしてくれる。  異世界から招かれた巫女は、そこで神と出会い力を分け与えられてこちらの世界へとやってくる。そして体にため込まれた神の神聖な力を使って、浄化や聖別を行うのだと言う。  ところが同じ神の力のはずなのに、人を介するせいか巫女の力には個々人の資質に拠る特徴が現れ、別物に変質してしまうらしい。  そして、変質した巫女の力同士は反発するため、違う巫女同士で聖別した武器などで切り合えば酷い反発が起こる。  だから巫女の代替わりには、それまで聖別が施されたものは廃棄されると言うことらしい。 「そ、それなら、ますますオレがやっちゃダメじゃないですか!」 「いや、兄弟だし、性質が近しいのでは と思ってな」 「っ……オレと、兄さんは全然違いますよ」  どこに出しても恥ずかしくない王の伴侶として、その評判は国内だけにとどまらない。  女神に例えられるくらいの美しい美貌とサラサラの髪と、いつも穏やかに人の言葉に耳を傾けて、世の中のことを考えているかすが兄さんとオレとじゃ雲泥の差だ。  オレ達を長年見ていたクラドだからこそ、余計にそう言ったことはわかると思ったのに…… 「そうだとしても、緊急措置として頼みたい。短剣を無くしてしまっているんだ、長剣だけでは森の中では振り回しにくくて……」  なるほど、人の手のほとんど入っていないここは、木も自由気ままに伸びているせいで木同士の間隔が狭かった。  クラドの持つ長剣は大きいものだから、ここで振り回していてはすぐに木にぶつかってしまうだろう、それなら小回りの利く短剣を欲しがるのもわかる。 「じゃ、じゃあ……これだけ」 「ああ、頼む。と言っても、無茶を言っていることは理解している、できるか?」 「……」  曖昧に笑って返して、優美な装飾の施されたナイフを手に取った。

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