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   銀色の、美しい光は時折クラドの目に宿るものと同じように思えて愛おしく思える。  これがオレだけじゃなくて、これからクラドの助けにもなるのだと思うと胸の奥にぽっとぬくもりが灯るような感覚がして、見たことはあってもやったことのないはずの聖別をどうしてだかできるような気分になった。  思いの丈を込めて祈りを捧げる。  それは言葉なんかじゃなくって、胸の内側に灯ったぬくもりを移し替えるような感覚だった。 「  ……沁み込む、みたいに」  空の雨がまとまって、粒になって、風に嬲られながらそれでも地に落ちてすべての生き物を潤すように、神からもらう力が銀色のナイフにしみわたって行くイメージが溢れる。  金属なのにそれは隅々まで行き渡って行くのだと、理解ができてそうなるものだと納得ができた。  スルスルと体から何かが抜けて行く感触は不快ではなかったけれど、今まで感じたことのないもので……戸惑いながらそろりとクラドを見た。 「できた……んだと思うんですけど、確かめることってできますか?」  チカリと光を反射するナイフは一見して何か変化があるようには思えない。  重さが変わったわけでもなければ色が変わったわけでもない、自分自身で何か変化したのかわからなかった。  銀色のナイフを差し出すと、クラドは慎重そうにそれを受け取って日の光に透かすように空へと向けて、また手元に引き寄せてじっと見つめる。  それはどこか自分の成果物を品定めされているような面はゆい感じで、なんとなく視線を足元に逸らして爪先で小石を転がす。 「少し待っていて欲しい」 「はい」  何をするのかと見ていればクラドは長剣を抜いて地面へ押さえつけるように置くと、先程渡したナイフをそろりと近づける。  ────カチン  拍子抜けするほど小さな音がしただけで、長剣にもナイフにも何も変化は起きない。やっぱりオレが聖別なんてできるはずなかったんだ……と肩を落とそうとした時、クラドは腰のベルトに収めていた小刀を抜いた。  長剣を鞘に戻してから、しっかりと革にまかれていた小刀に向けてナイフを近づける。 「  っ」  はっと息を飲む。  離れているオレでも感じることができるほどそれははっきりとしていて、ぴりっと肌を刺すような感覚に身がすくんだ。  何かまずいことが起こるんだって、見て理解する前に本能が訴えるようなひりつく空気に息を飲む、何事かとクラドに尋ねかけようとした瞬間、光が弾けた。 「  ────⁉︎」  まるで火花のようにバチバチと弾けて散ったそれは、熱を持っていないのにその鋭さだけで痛みを感じさせるものだった。  

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