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1.大晦(25)

 裏筋を何度も舐めてから、先端を口に含み、細くなった部分に舌を絡めた。ゆっくりと口の奥へ迎えいれると隆人がかすかな声をあげた。それがうれしくて遥は笑みながら硬く張りつめたもの出し入れする。しっかりと唇で包みこみ、上下動を速くしてみる。  隆人の息が上がってきた。更に口の中で遥の刺激で育つ昂りに、隆人を翻弄している気がする。奥まで含み、舌を添わせながら口から出した。  張りつめてつるんとした先端を舐めているうちに遥は突然あるものを連想し、笑ってしまった。 「遥?」  怪訝そうな隆人に答えようと口を離すと、隆人の中心がぱちんと下腹に当たった。ついに遥は噴いてしまった。 「ははは、くふふ、く、くく……」  絶対叱られる。だが笑いはおさまらない。 「儀式中だぞ」  起きあがった隆人に捕まった。のしかかられて顎を掴まれた上で唇をふさがれる。強引なキスに笑いは飲みこまれた。 「人のペニスをくわえたまま笑うとは、失礼な凰様だな。どうしたんだ」  隆人は機嫌が悪そうだ。 「ごめんなさい。謝る。でも理由は訊かないでくれ。くだらないことだから」 「はっきり言え。かえって気になる」  遥は上目に隆人をうかがうと、隆人は命じるようにうなずいた。仕方なく遥は正直に話し出す。 「隆人さんはたぶん知らないと思うんだけど――」  遥は親指と人差し指で丸を作った。 「俺が子どもの頃、父さんがときどきこのくらいの丸いゴムに包まれた一口羊羹を買ってきたんだよね。小さいゴム風船に中身がいっぱいに詰めてあるから、表面がゴムが伸びきって中が透けるほどで、本当につるっとしてるんだ、これが」  隆人は訝しげだ。絶対に実物を見たことがないに違いない。お坊ちゃまは駄菓子など未知の世界だろう。 「どうやって中身を出すかというと、爪楊枝を刺すんだよ。すると伸びきっていたゴムが破れてつるんと剥けるわけ。羊羹は爪楊枝に刺さった状態」 「それとこれとどう関係があるんだ?」  まったく理解していない隆人の真面目な表情がおかしい。 「いや、その先っぽが張りつめてつるつるしているのを見たら、つ、爪楊枝刺したらつるんと剥けそうだなと――」  また笑い出した遥の頭を隆人が押さえこんだ。 「そんなくだらないことで笑っていたのか。禊ぎの場にたたき込むぞ。そうすれば少しは頭が冷えるだろう」 「言わせたのはそっちだぞ」  言いかえすと隆人がばつの悪そうな顔をした。 「真面目にやれ、本当に」 「わかってる。さあ、続きをするから横になってくれよ」  強引に渋い顔の隆人を押し倒す。  今夜は隆人との距離が近い気がする。久しぶりの逢瀬だからだろうか。気持ちが弾んでいる。  隆人の腿の間に跪き、再び舌先で根元から何度も舐めあげると、隆人が口で息を吐く。やや失われていた硬さがすぐに戻ってきた。したことに反応があるのはうれしい。隆人が感じていると思えばもっと反応を引き出したくなる。  丸みを帯びた暖かい先端を舌で転がすように遊んでから、ゆっくりと出し入れしてみると隆人の呼吸が浅くなってくる。  もっと、もっと隆人を反応させたいと思い、口蓋に添わせながら喉の方まで導いてみた。途端に嘔吐反射が起きて咳きこんだ。慌てて口を離し呼吸を整える。 「無理するな」  頭を上げてこちらを見ている隆人が苦笑している。穏やかな眼差しだ。遥はいつの間にか畳に転げていた枕を取り、隆人の頭の下へ差し入れた。隆人が腕を上げ、遥の頬を指でなでた。 「ありがとう」  この八ヶ月で変わったのは遥だけではない。  遥は微笑みで答えると、隆人の昂りを口の中へ迎え入れる。  歯をあてて軽く刺激してはねっとりと舐める。吸いあげながら舌先でくびれをぐりぐりと押す。遥のちょっとした動きにも隆人は息を飲み、たまりかねたようなため息をはっきり漏らしはじめた。隆人の体が熱くしっとりと汗をかいてさえいる。  与えられる肉の悦びではなく、相手の快楽を思うように扱う悦び。隆人の欲望をコントロールすることで、支配の悦びが手に入った。  とはいえ、今の遥ではまだ口だけで隆人をいかせるのは無理そうだ。根本に指を添えて扱きながら、舌を絡め激しく抽挿をする。隆人の息が一段と荒くなった。昂りは更に体積と質量を増して遥の咥内に満ちる。 「はるか、はる、か」  喘ぐように名を呼ばれ、遥は興奮にぞくりとした。抽挿と扱く手のピッチを上げると、隆人を一気に絶頂へ突きとばした。 「うっ、く……」  隆人が息を詰めた次の瞬間、温かいものが飛びだしてきた。隆人の腰がびくつき更に数度それは舌の上に送りだされ、どろりと口の中にたまる。  遥は息を乱している隆人のそれを根元から指で搾りながら吸いあげ、口を離すと一息に飲みくだした。  青臭さを少しでも感じたくなくて口で息をしていると、ふわりと隆人の手に頭を撫でられた。 「清めさせてやる」  隆人が手を叩いて世話係を呼んだ。すぐに水差しやコップなどが用意され、遥は何度も口をすすいだ。

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