6 / 40
第一章:腐は常に背負っているもの、古代のやり方に惚れています。
ー魔界・ブルブェニ城・バルコニー
とある科学者が、時間の流れを解いたと云う。
それを、解明したくても、解明出来ないのが科学の疑問だと思った。
「叔母も、古代書を通して…魔界に送る事は無いと思うんだ」
一人の男性が、ティーカップを口に運ぶ。
何が企みなのかは知っているが、現代の神を魔界へ送って来る理由を知りたい。
ふわりと、鼻に広がるフローラルな香り。
今宵は…。
ー…カモミールとミントを使ったハーブティーか。
匂いを確認しながら、作った人物を想像した彼は静かに、ハーブティーを堪能するのであった。
「ハーブに詳しいとすると、彼女しか思い浮かばないけど、味的には合格。ちゃんと…ハーブの組み合わせが解っている証拠。蜂蜜を準備しているあたりが、策士って感じがする」
実に、優雅なティータイムだ。
男性は、仄かに微笑み、今から来る“彼”を待っていた。
話に聞けば、下界暮らしが長いという。
光皇帝の血筋にしては。
珍しい事もあると思った彼は、一躍した。
古代書を使い、時空を登って来る。早々と、体験出来る事ではない。
よっぽどの理由が必要になる。
条件が揃わない限り、叔母も時空術を使ったりはしないだろう。
「…古代神の血筋を引いた母親。その血を濃く引き継いだ御子。だけど、一つ訂正しなければいけない。それは」
作られた物語だから…。
序章にしては、醜いだろう?
何処に、古代書を持って下界に降りる神が居る。
しかも…。
普通に、使っていたとなれば問題だ。
彼は、テーブルに置かれたティーポットを取り、ティーカップに注いだ。
オレンジ色に近い色をしたハーブティーは、美味しそうな音を立てた。
こうして見ると。
綺麗な色合いをしている。
まるで、エデンの園が其処に、存在するかの様に。
鮮明に残る山紫水明な光景が広がりそうな勢いだが。
男性は止めた。
あまり、好ましくない…。
昔に一度、見せてもらったからと言い、入り浸りするのは彼の叔母が怒る。
あれは、あくまで見せただけであり。
触れて良いとは、教えていない。
それを男性は。
解っていたから、抑えられた。
たまに、抑えられず、暴走する者も居る。
ともだちにシェアしよう!