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制御出来ない者の末路は決まって、罰される運命に値する。 それを管理している魔界は、堕ちて来る者を目に、どのエリア-に回そうとか、弄ぼう等と考えるのが、得意だ。 この場合は、異教徒に値するのか…。 まぁ、俺の担当じゃないから触れたりはしないが。 彼処は、何かと厄介な従者が多い。 「叔父は、楽しそうに見ているがな。担当している者が問題な気がする…」 魔界帝国を統一している自分が言うんだ。 絶対、第五圏だけは異動したくない。 そんな事を考えながら、彼は薄々と感じる魔力を髪で感じ取っていった。 こいゆう風に馴染むのは、ブルブェニの血を引いている者だと解る。大方、目覚めたばかりなのだろう。 古代に関する情報を読み取って、自分の血筋の匂いを前から嗅ぎ付けたまでは良いが。 普通は、己の分身を作って、血族者の観察はしない。 どの辺で、心を擽られたのだろう。 「どうせなら…俺にも、分身の作り方を教えて欲しかった。自分の血族者観察って、何!叔母っ…」 一応、魔界帝国を統一している魔王なんだけど。 何か…。 微妙に、悔しいのは何でだろう。 古代書を見ても、古代魔界語で『分身』の作り方というのは載っていなかった。 男性は、思わず溜め息を吐きたくなった。 何故、彼女は、教えてくれなかったのだろうか。 言えるのは。 習う物が違うか。 だとすれば、叔母が教えないのも理解出来る。 頭に思い浮かべた文字を宙に書いてみる彼は、金色の光を加えた。 これが、魔術の基本だと解るだろうか。 習いたての子が最初に通る道は、文字を読む事らしいが。 上達するにつれて…。 今みたく、光を加える事が出来る。 「その上にいる叔母は、文字を踊らせたり、呪文を唱える時に使ったりする訳で。俺は、それをマスターしたいんだけど…。叔母、見ているなら教えてくれても良い気がします。古代書使いにも、種類があるのだと教えてくれるべきです…」 若干、苛ついた声音で、男性は叫ぶ。 さっきから、気は感じるものの現れない。 寧ろ『迷子になったか』と、思ったが。彼女に限って有り得ない事だ。 時空の中は、彼の叔母のテリトリーである。 よって『迷子』は、取り消された。

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