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【マリヤside】 流石は、叔母の血筋が強いだけある。 確かにセトとは“親友”の関係に値する。私は、ブルブェニの血筋を引いている訳ではなく、セラの血筋が強いかも知れない。 かの有名な『歩く変態紳士』と、名高いシイガーの家系。 だからといって自慢する訳でも無いが。 私にだって、地位が存在する。 「叔母の血筋には、セトも興味あるだろう?私もある。嘗て、エデンの園を見捨てた女神に…」 湯船に浸かりながら、考え事をしていた。 ブルブェニ城に居る叔父達は、彼女の手を借りたくて仕方ないらしい。魔術及び、研究するテーマが決まっている分、色々と試したいとか。 だが、彼女の旦那からしたら…。 『ふざけるな』の一言で片付けられてしまう。 ずっと、お想い合い。 愛し合っている仲だ…。 それで、なり合っているのが二人。 『一緒に、新たな家族を築き上げないか?』 『はい。不束者ですが、宜しくお願いします…』 たまに…。 夢に出てきてしまうシーンだ。 一人の男性が女性にプロポーズする場面は、鮮明過ぎる。 何故か、彼女の気持ちも解れば。 相手の気持ちも解ってしまう。 「あれは、幾年と越えた…叔母と伯父の未来。幸せそうな笑顔は…きっと、旦那のモノ…」 ー…只でさえ、嫉妬深いと聞く。 現代の神に触れているのも疑問。 私は、其処に疑心暗鬼を感じている…。 叔母を通じながら、通っていく関門は、果たして“彼”に必要なのかを問いたい。 私だって、立派な魔族の血筋を引いている。 それなりに、礼儀も成しているつもりだ。 ただ。 叔母の血筋に対しては、どうして良いのか解らない。 「今宵の湯に感謝。そして、ブルブェニの血筋を引いている叔母の酔狂に…。乾杯…」 疑問だらけだから、問いたい。 伯父、あの表情は貴方だけのものかも知れないが。 本当に、他人に魅せて良いものだったのかを、問いたい。 『ー…私、彼女の前では、嫉妬深いという部分は見せませんよ』 本当、幾度なく見てきているが。 紳士的、対応に拍手したい。 “セラ”の家系にしては、珍しく、興味をそそる。 美味しそうな匂いがするんだ。 あの、二人の古代神。 想像しただけで、涎が出てきそうになる。

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