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何が悲しくて、男同士の性描写を送ってくるのかを、一度、彼に問いたいんだけど。 生憎、文字に集中している…。 その…。 集中力をとぎらせないで欲しいわ。 文章と統合するのは、簡単な事じゃないけど。 魔界に着くまでには…。 マスターしていて欲しい。 小嵐を待っている“彼”が瞳に入る様に。 尊大なスケールでいきましょう。 『それ、難しそう…』 ふっと、耳に入ってきた声音。 『ー…オマジナイ』 すーっと、一筋の光が、あるページを指した。 私は少女の指を辿る。 そこには『オマジナイ』と、書かれてあった。 『こんなの載っていたかしら?』 首を傾げながら、文章を凝視した。 オマジナイの類いは確かに存在はするけど。 この古代書に載っているオマジナイは…。 ー…二百三十五ページ。 でも、恋に関するものじゃなかった気がする。 私の思い過ごしかしら。 そもそも、今、オマジナイに関して必要かしら。まだ、逢ってはいないとはいえ、恋するのは目に見えているのに。 何が『それ、難しそう…』なのかしら。 必死に古代魔界語を宙に書いている小嵐を見て、私は聞こえてきた声が言っていた事を考えた。 如何にも、恋のオマジナイでもしろと、言わんばかりだわ。 『今のは…解けるまで、お待ちを』 流石の自分でも、意味を理解しないと、内容に触れられない。 指をさされた箇所の文章が安全かどうかを確かめない限りは、彼には教える事すら不可能。 「…で、できたぁぁぁ!!!」 いきなり大声で叫ぶ小嵐。 『少し時間掛かったけど、良かったわね…』 「うん」 本当に嬉しそうな表情をする。 だけど…。 彼なりのセンスってのは解っている。 解っているんだけど。 『どうして、毎回毎回 、性描写のシーンから入っていくのよ!小嵐、貴方…欲求不満?』 「ち、違うよ。脳内が、もう既に性描写に備えて準備されているの!科白が勝手に溢れ出してくるんだよ」 『小嵐の脳内腐っていますわ…』 「腐男子なんだから、腐っていて当たり前です」 開き直らなくて良いのよ。 小嵐が根っからの腐男子なのは、見れば解るから。 常にBL小説を持参している子は居ないから。 安心して『腐』を飾り出しておきなさい。

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