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2ー2
何が悲しくて、男同士の性描写を送ってくるのかを、一度、彼に問いたいんだけど。
生憎、文字に集中している…。
その…。
集中力をとぎらせないで欲しいわ。
文章と統合するのは、簡単な事じゃないけど。
魔界に着くまでには…。
マスターしていて欲しい。
小嵐を待っている“彼”が瞳に入る様に。
尊大なスケールでいきましょう。
『それ、難しそう…』
ふっと、耳に入ってきた声音。
『ー…オマジナイ』
すーっと、一筋の光が、あるページを指した。
私は少女の指を辿る。
そこには『オマジナイ』と、書かれてあった。
『こんなの載っていたかしら?』
首を傾げながら、文章を凝視した。
オマジナイの類いは確かに存在はするけど。
この古代書に載っているオマジナイは…。
ー…二百三十五ページ。
でも、恋に関するものじゃなかった気がする。
私の思い過ごしかしら。
そもそも、今、オマジナイに関して必要かしら。まだ、逢ってはいないとはいえ、恋するのは目に見えているのに。
何が『それ、難しそう…』なのかしら。
必死に古代魔界語を宙に書いている小嵐を見て、私は聞こえてきた声が言っていた事を考えた。
如何にも、恋のオマジナイでもしろと、言わんばかりだわ。
『今のは…解けるまで、お待ちを』
流石の自分でも、意味を理解しないと、内容に触れられない。
指をさされた箇所の文章が安全かどうかを確かめない限りは、彼には教える事すら不可能。
「…で、できたぁぁぁ!!!」
いきなり大声で叫ぶ小嵐。
『少し時間掛かったけど、良かったわね…』
「うん」
本当に嬉しそうな表情をする。
だけど…。
彼なりのセンスってのは解っている。
解っているんだけど。
『どうして、毎回毎回 、性描写のシーンから入っていくのよ!小嵐、貴方…欲求不満?』
「ち、違うよ。脳内が、もう既に性描写に備えて準備されているの!科白が勝手に溢れ出してくるんだよ」
『小嵐の脳内腐っていますわ…』
「腐男子なんだから、腐っていて当たり前です」
開き直らなくて良いのよ。
小嵐が根っからの腐男子なのは、見れば解るから。
常にBL小説を持参している子は居ないから。
安心して『腐』を飾り出しておきなさい。
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