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後、一時間もしない内に魔界へと到着する。
その間だけは、小嵐に騒がれたら困ってしまう。
甥っ子が準備して待っている古代書。
繋がっている間は、時空の流れが発生していて、他の誰かが触れたりしたら危険。
だから、傍に居ておかないといけない。
『ところで、小嵐に『分身』の作り方とかは教えていませんよね?』
『教える訳無いじゃないですか。第一、彼、未婚ではありませんか。それは、良い殿方が居るなら兎も角、今の状態では恋愛の部分に興味あるのかも不明』
『…ですよね』
『自分の趣味にまっしぐらなんですよ』
いきなり聞いてきたから、驚いたけど。
私は、顔には出さなかった。
彼女の心配は、到底有り得ないから無用。
だって、小嵐に『分身』の作り方を成せと言っても、一つだけ無理な事がある。
ー…夫が居ないと。
あの、実験とも言える『分身』を作る行為は出来ない。
よって、彼には作る事は愚か、マスターするのにも気力と体力を使う。
況して…。
恋愛に興味あるのかも不明なのよ。
二次元に華を添えて、ひっそり生きている子ですもの。
自分の恋愛となると…。
『僕自身がモデルとか、考えた事無い』と、返ってくるに決まっていますわ。
想像してみなさい…。
マリヤに恋している小嵐を。
脳内が拒否を始めようとしているから、私は静かに甥っ子へ、パスしたい。
だけど、許されないのでしょうね。
『君が見てみたいと、言ったから…繋いだまでだ』という言葉が今にでも降ってきそう。
それを、拒否した場合は。
お仕置きされるのが目に見えている。
『小嵐の綺麗な髪に惹かれてくれる男性が現れたら嬉しいわ。それに、感情の昂りを抑えてくれる人!これ、必要条件』
うわぁ、勝手に孫息子を売ろうとしている。
そんなの誰かが聞いていたらどうするの!!!
『あ、現れると良いですね』
冷や汗を垂らしながら、私は彼女に言った。
必要条件が問題な気もするけど、此所は飲み込んで、黙っておこう。
確かに、小嵐の髪色は本人も自慢の色。
下界に居る頃は、黒にしていたけど。天界へ戻って来てからは、本来の色であるエメラルドグリーンに戻してある。
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