32 / 40
3ー7
【ビアンside】
母様が『用事』なんて言うから、来たのに。結局、資料の見直しじゃん。
前魔王だとしても、仕事があるのは承知しているけど、内容がマリヤの血液に関してとは。
ゲロが出そう。
よりによって、ナルシスト感バリバリの男の血液を、叔母は、よく、回収しようと、思った。
それにしても…。
ー…被験者Aと、被験者Bとの間に、子供を設けようとは。
叔母も、考えたものだ。
この資料…。
『分身』が、見たら、どう思うだろう。
そんな事を考えながら、本棚から一冊の本へ、手が伸びた。
母様の書斎部屋に本を置いたのは、間違いなく、幼い頃の自分で。すっかり、あるのを忘れていた。
こうやって、触っていると、懐かしい想い出が、溢れ返ってきそう。
染々、実感していたら、視線を感じて、見ると…。
明らかに、仕事をサボろうとしている母様。
何か。
僕の調べようとしている事を、勝手に調べようとしているのが、見え見え。
『学名』からってのは、有り難いけど。
仕事をしてもらわなきゃ、困る。
それは、資料内容が、薔薇の花を湯船に浮かべて、昔風の皇子みたいなマリヤの事だけど。仕事である事には、変わりない。
『試験体』って、人だったり、動物だったり。
植物の事を、表すよね?
まぁ、叔母様が自分で作った『分身』を『試験体』に、する筈も無いから。この場合は、食虫植物らへんを、選んでいた方が安全。
母様の慌てぶり様を見たら、何となく、想像出来るけど。
一応、魔界帝国に居る五大王族を官吏する立場に居るから、僕達が文句を言っても、仕方ない。
それに、もしかしなくっても…。
蛇かも知れないし。
あ、ヤバッ。
母様、蛇の事になると、恐いんだった。
本当…。
普段も、それくらい、父様の前でも、感情を、出してくれたら、助かるんだけどなぁ。
これは、デザートだけじゃ、機嫌が直らないだろうな。
「僕の…夢の蛇園は、実験材料じゃ無いんだけど…」
「ご、ごめんなさい」
久しぶりに、母様の、怒った声を聞いた。
というか、叔母様なら、こいゆう場合、どうするの?
甥っ子でもある母様の止め方、習っておくんだったぁぁぁぁ!!!
ともだちにシェアしよう!