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3ー10
大方、牽制を張る為に、利用しようとしていたに違いない。
周りを、護りで固めていれば。
圏に、立ち寄った時に、何かと、便利だと、考えるだろう。
あくまで、彼女の旦那の場合。
もしかしたら、他の事を、考えているかも知れない。
基本、顔には出さないタイプだから、今一、思考が、読みにくいのが、難点である。
「やっぱ…『分身』が、こないと、解らない部分がある。被験者は、兎も角、この花を使って、エキスを、注入しないと、いけない訳だから…」
鳴呼、それ、一番、頭を、悩ます所。
僕も、結構…。
悩んだの、覚えている。
没頭していたら、朝日が、拝めるんじゃなかって。
当初は、思ったよ。
爽やかな顔を浮かべた夫を、見るまでは。
一瞬、殺意を、覚えた。
あの時の屈辱は、一生、忘れない。
『“フリア”の血筋の者と、交じった息子と、本気で、勝負したくなった…』
『貴方に似ているんだから、勝負しなくっても、結果は、見えているでしょう』
というか、お馬鹿な息子だから。
セトが、しっかしりしている分、親としては、安堵している。
お互いに、誰の魂を、引き継いでいるのかは…。
感覚で、解るだろう。
今回が…。
血液というのが、問題なだけで。
他は、ナルシスト感が溢れだしているマリヤが“彼”を見て、興奮しないかが、心配。
「あぁ、もう。こいゆう時は、フリアでしょう!義理母様に、相談に、乗ってもらった方が、何倍も楽。植物に関しては…義理母様が、詳しい…」
「何、叫んでるの!行くのは、良いけど、資料、まだ、あるよ」
「えぇぇぇっ!母様、絶対に、溜め込んでいましたね。何なんですか、この、量は…」
「レイナ様が、留守する間に、届けられた…僕の仕事と、祖母様の仕事。プラス、マリヤの案件山積みという嫌がらせ付き!」
手が追い付かないんだよ。
次々、運ばれてくる資料には『ビアン様に、手伝ってもらって下さい』と、手紙が、添えつけられていた。
よって、ビアンを、逃がす訳にはいかない。
僕の、積もりに積もった仕事を、終わらせてくれるまでは、夫であるセトにも逢わす訳には、いかないんだからね。
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