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大方、牽制を張る為に、利用しようとしていたに違いない。 周りを、護りで固めていれば。 圏に、立ち寄った時に、何かと、便利だと、考えるだろう。 あくまで、彼女の旦那の場合。 もしかしたら、他の事を、考えているかも知れない。 基本、顔には出さないタイプだから、今一、思考が、読みにくいのが、難点である。 「やっぱ…『分身』が、こないと、解らない部分がある。被験者は、兎も角、この花を使って、エキスを、注入しないと、いけない訳だから…」 鳴呼、それ、一番、頭を、悩ます所。 僕も、結構…。 悩んだの、覚えている。 没頭していたら、朝日が、拝めるんじゃなかって。 当初は、思ったよ。 爽やかな顔を浮かべた夫を、見るまでは。 一瞬、殺意を、覚えた。 あの時の屈辱は、一生、忘れない。 『“フリア”の血筋の者と、交じった息子と、本気で、勝負したくなった…』 『貴方に似ているんだから、勝負しなくっても、結果は、見えているでしょう』 というか、お馬鹿な息子だから。 セトが、しっかしりしている分、親としては、安堵している。 お互いに、誰の魂を、引き継いでいるのかは…。 感覚で、解るだろう。 今回が…。 血液というのが、問題なだけで。 他は、ナルシスト感が溢れだしているマリヤが“彼”を見て、興奮しないかが、心配。 「あぁ、もう。こいゆう時は、フリアでしょう!義理母様に、相談に、乗ってもらった方が、何倍も楽。植物に関しては…義理母様が、詳しい…」 「何、叫んでるの!行くのは、良いけど、資料、まだ、あるよ」 「えぇぇぇっ!母様、絶対に、溜め込んでいましたね。何なんですか、この、量は…」 「レイナ様が、留守する間に、届けられた…僕の仕事と、祖母様の仕事。プラス、マリヤの案件山積みという嫌がらせ付き!」 手が追い付かないんだよ。 次々、運ばれてくる資料には『ビアン様に、手伝ってもらって下さい』と、手紙が、添えつけられていた。 よって、ビアンを、逃がす訳にはいかない。 僕の、積もりに積もった仕事を、終わらせてくれるまでは、夫であるセトにも逢わす訳には、いかないんだからね。

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