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3ー11
ー魔界・第一圏・フリア邸・リビング
絢爛豪華とも言える言葉が相応しいシャンデリアが、古城を思い描かす屋敷。
此処は、魔界帝国五大王族の一つ、第一圏を担当している『フリア』の所有地である。
「意外に、遅いじゃない」
「ん?」
優雅に、デザートを食べていた女性が口を開いた。
「レイナ様も、他の件が無ければ、傍観と、言った所だけど…。そうもいかないわね。セレが気付いてしまった。だけど」
一人、淡々と、呟く彼女は、小さな声音で『カルマは、まだまだね』と、言った。
「母様、顔が、ニヤけてますよ…」
「あら…。私ったら。今から来る嫡男の事を、考えていたら」
「兄様、来るんだ。丁度、僕も話があった所…!」
「…カザが、楽しみにしているのは、例の“彼”の事かしら?それとも、マリヤの事?」
ぼけーとしていた男性が、母親の顔を見て呟く。
そう、二人が待っているのは、嫡男であるセレ。何時、訪れるのかを心踊らせながら待っていたのだから、報告も良い物だと良いが。
来る目的が、アレなら…。
『フリア』の歴史にも、触れる時が来るわね。
ー…お嬢様。
『私の血を引く者は、皆、紅い血の中で生まれるわ。それこそ、必然で、色んな宿命を背負い、魂が分かれて』
女性は。
若い頃に、言われた科白を、思い出していた。
それは、彼女が魔界へ降りて来て。
まだ、間もない事だった。
冷めた双眸で、辺りを映し出す女性は、本当に天界に生まれた皇女ダのだろうかと、疑問を抱いた。けど、ある事を、切っ掛けに、彼女も、血族の事を知る様になる。
『フリア』は…。
確かに、カギリを筆頭に、歴代を飾る王族。
無論、魔界帝国を、統一している『ブルブェニ』との関係も、深く。
善き、親交関係に値している。
そんな中で、魔王を、選ぶ事に携わっているのが“レイナ”だ。
態々、自分を、モデルに『分身』を、作って、女性がやりたかった事は、意外にも血を使って。新たな子を成し遂げる実験。
最初、聞いた時は、驚いた。
けれど、叔父の研究を、手伝っている内に、太古に断念した事を思い出したらしい。
『結界ならぬ血界。自分の血を使って、やるのは、最初で最後』
仄かに、微笑みながら、彼女は言った。
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