39 / 39

3ー14

血液で、適合者を、探す辺りが、叔母様らしい。 『セラ』の家系と、言えば、マリヤしか、思い浮かばないけど。 例の“彼”の相手に、不服が無いのかと、問われれば、返ってくる言葉は、解っている。 『今回の件で…血液は、大事な事よ。遺伝子の中には…相性が合って。惹かれる瞬間を見てみたいの。マリヤの血液と、彼の血液、反発を起こさず、交わるなんて、久しぶりに見たわ』 そこまでして、研究の成果が出ているのに…。 叔母様は、彼で何を見出だそうとしているのか。 それとも…。 ビアン関係に、深く、関わっているのかしら。 あの子、お馬鹿ではあるけど、感だけは、鋭い。 現魔王として、君臨しているだけあり、執務も、立派にやり遂げる。 『叔母様が、描いていた世界って、何でしょう。嘗ての白き絶対神は、其処に、何を描きたくなったのかと、考えた時、僕、見えてしまったんです』 『見えてくる世界なんて、それぞれでしょう。ビアン、私が、見てきた世界は、綺麗でありながら、穢れた世界かも知れない。嘗ての白き絶対神が、言うんですもの。間違いないわ…』 『じゃあ、古代書は?』 『それは、大事に使って。ビアンにとって、意味がある物へと、変わるから…』 ブルブェニ城で、たまたま聞いてしまった会話。 幼いビアンが、初めて、彼女に、聞いた言葉だった。 古代書を、渡してまで…。 彼に、何を見せようとしていたのかが、不思議だった。 一部によれば、古代書の効果を見たかったとか。 ずっしりと、古代魔界語書かれている本を、甥っ子に、渡す辺りが、お嬢様らしいと、言えば良いのか。 意味があるから渡すのだろうけど。 古代書の実験なんて、私、初めて聞きました。 お嬢様が、古代書を…。 持ちながら、術を使っていたら、恐いですわ。

ともだちにシェアしよう!