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血液で、適合者を、探す辺りが、叔母様らしい。
『セラ』の家系と、言えば、マリヤしか、思い浮かばないけど。
例の“彼”の相手に、不服が無いのかと、問われれば、返ってくる言葉は、解っている。
『今回の件で…血液は、大事な事よ。遺伝子の中には…相性が合って。惹かれる瞬間を見てみたいの。マリヤの血液と、彼の血液、反発を起こさず、交わるなんて、久しぶりに見たわ』
そこまでして、研究の成果が出ているのに…。
叔母様は、彼で何を見出だそうとしているのか。
それとも…。
ビアン関係に、深く、関わっているのかしら。
あの子、お馬鹿ではあるけど、感だけは、鋭い。
現魔王として、君臨しているだけあり、執務も、立派にやり遂げる。
『叔母様が、描いていた世界って、何でしょう。嘗ての白き絶対神は、其処に、何を描きたくなったのかと、考えた時、僕、見えてしまったんです』
『見えてくる世界なんて、それぞれでしょう。ビアン、私が、見てきた世界は、綺麗でありながら、穢れた世界かも知れない。嘗ての白き絶対神が、言うんですもの。間違いないわ…』
『じゃあ、古代書は?』
『それは、大事に使って。ビアンにとって、意味がある物へと、変わるから…』
ブルブェニ城で、たまたま聞いてしまった会話。
幼いビアンが、初めて、彼女に、聞いた言葉だった。
古代書を、渡してまで…。
彼に、何を見せようとしていたのかが、不思議だった。
一部によれば、古代書の効果を見たかったとか。
ずっしりと、古代魔界語書かれている本を、甥っ子に、渡す辺りが、お嬢様らしいと、言えば良いのか。
意味があるから渡すのだろうけど。
古代書の実験なんて、私、初めて聞きました。
お嬢様が、古代書を…。
持ちながら、術を使っていたら、恐いですわ。
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