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第8話《おまけ+》レッスン③
「いつか君に言ったかも知れないけれど……」
「何でしょう?」
「ドイツ語には、単語と単語を合体させて新しい言葉にしてしまう事もできるんだ」
これは!
(ウィルバート先生モードだ)
「涼しいという意味のKühl 、戸棚という意味のschrank 。
この二つを合体させたKühlschrank は何だと思う?」
涼しい戸棚……
涼しい戸棚……
うーん。
「何だろう」
「ギブアップ?」
諦めたくない。でも、悔しいけど。
「分かりません」
「冷蔵庫だよ」
「あっ」
そっか!
「じゃあ、凍るという意味のGefrieren と、戸棚のschrank を合体させたGefrierschrank は何かな」
「冷凍庫!」
「正解だ!」
「やった♪」
すっかり元に戻ってる。ウィルバート先生だね。
「それでね、ソーマ」
「はい!」
「スマタなんだけど」
「……はい?」
今、何て言った?ウィルバート先生。
「二つの単語を合体させて、新たな単語を生み出すドイツ語の特性を駆使して、私は考えた」
「考えんでいいっ!」
「スマタはドイツ語で……」
「言うなァァーッ!」
「ギンギンボッキデオマータシコシコ♪ウホーヰ」
………
………
………
「………」
「………」
「素敵なドイツ語だろう?」
「……ドイツ語ですか?」
「もしもドイツ語に聞こえなかったのなら、それは君がドイツ語の学習に勤しんでいるからだよ。遂に、ドイツ語もニホン語のように聞こえるようになったんだね。すごいよ」
「………」
「………」
「ウホーヰって何ですか」
「歓喜の声」
「………」
「絶頂間際の私の淫靡な心の声だよ」
「………」
「………」
「………」
「ウホーヰ」
「………」
………
………
………
「射精はもうすぐだよ」
「………」
「イク時は君も一緒だ」
「ひゃっ」
熱い吐息が耳朶をすくった。ひだに吹きかかる低音ボイス。
「ほら、君もドクドクしている。会陰 から玉袋を私の硬い剛直に突き上げられて、今、ビュクンってしたね」
「やっ」
「逃げていいの?一緒に腰を振ってる癖に。私を置いて逃げてしまう薄情な君なの?」
「俺、そんな事してません」
「今はね。でも私とスマタをしたら、するようになるよ。腰を振って、私を一生懸命こすり付けて……ハァハァ、ハァハァ、息を切らして玉のような汗を浮かべて……
一緒にイこう。君と一緒がいいよ。私の知らない君をもっと見せて。淫らに狂しく、私が君を暴いてあげるよ」
大佐……
「熱い昂ぶりが君を突き上げるよ。ドクンドクン、ビュクンビュクン、君はもう我慢できない。さぁ、一緒にお射精だ。せーの」
えっ……
せーの??
「ウホーヰ!!」
「せんわァァァーッ!!」
プシュウウウゥゥゥーーッ
ハァハァ、ハァハァ……
頭から湯気出して寝とれ。
(大佐、これは単なるイケボの無駄遣いだ)
今すぐやめて下さい。
……大佐。イク時「ウホーヰ」って言うんだ。
ドイツ人特有の喘ぎ声なのだろうか。
それとも、α……
大佐だけの……
変な想像はよそう。
調子の悪い家電は叩くと直るという。我らニホン人が、世界に誇る技術の真骨頂である。
叩いたから、大佐も治るといいな……
【完】
本編はまだまだつづくよ♪
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