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第14話

「もしかして、ソーマ……ドイツに行くのが嫌なのかい?」 「えっ」 「強引なのは分かっている。でも、君の退路を断ってでも連れ帰りたいと思っている。睡眠薬で眠らせた君を無理矢理、飛行機に乗せてしまった方が良かったかな」 「大佐っ」 「フフ、冗談だよ。でもね、半分本気だ。君を離したくないと思っているのは事実だから」  不穏な言葉を口にしているのに、柔らかな大佐の笑顔を見るとそれだけで胸がいっぱいになってしまう。  どうかしてるのは俺の方。無茶苦茶な言い方されてるのに……  許せてしまう。  寧ろ心地良いとさえ思ってしまう。  俺って変だよね? 「俺、大佐と一緒にドイツに行けるのが嬉しいです」  あぁ、こんなに甘くて軍人なんかやってけるんだろうか。  でも言わないと。  うぅん、伝えたい。 「大佐のご厚意、ありがとうございます。俺ッ」  ワッ!!  ガタンッと食器がテーブルで鳴った。  小さなテーブルの上。  大佐に引き寄せられた体が抱きしめられる。  声が出なくて、息をするのも忘れている。 「なんて言えばいいのだろう。言葉が出てこないよ」  大佐も? 「胸がドキドキしている」  俺もです。大佐……  こくりと胸の中で頷いたら、大佐が髪を撫でてくれた。 「明日、一緒にドイツに帰ろうね」

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