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第17話《おまけ+》③

「ソーマ、あと一つお願いがあるんだけど」 「何ですか」 「郷に入れば郷に従えと言う。故に私もニホン文化を学び、慣習を尊重してきたつもりだよ」 「はい」  大佐はニホン人よりもニホン文化を勉強し、理解していると思う。  簡単に実践できる事じゃない。  すごいな。 「だからね、ソーマ。ドイツに行く君も、我が祖国の文化を尊重してほしいんだ」 「もちろんです!」  俺なんて、大佐に比べたらまだまだ勉強不足だけど。 「俺、頑張りますね」  大佐が期待してくれているんだ。 「Danke(ダンケ)!嬉しいよ。じゃあ、早速だけど」 「何でしょう」  嬉しそうに目を細めた大佐に俺が頷いた。ドイツ文化を理解するチャンスが到来だ。 「陰毛、剃ってくれるかな」  ………  ………  ……… 「………」 「………」 「………」 「あの、大佐」 「はい」  いいお返事。  ……って、そうじゃない。 「今なんて?」 「陰毛、剃ってくれるかな」 「………………」 「陰毛とは、下の毛の事だよ」  言い直さんでいいわっ! 「陰毛剃ろう」 「なんでそうなるんですかっ」 「我が母国ドイツでは陰毛のお手入れは、成人αのエチケットだよ。ニホンにいる間は、郷に入れば郷に従えというからね。私もボーボーのたてがみにしていたが、帰国するとなると話は別だ。空の守護者が、たてがみボーボーでは笑われてしまうからね」 「………」  なでなで 「私はもう昨日のうちに、きれいに剃ったよ」  きれいに……  剃った? 「じゃあ大佐は今★!!」  ダメ!想像しちゃ!  大佐の股間……否、沽券に関わる最重要機密なのだ。 「見る?」 「見ません!」 「君は私のΩだからね。Ωの下の毛のお手入れはαのエチケットだよ」  プルプルプルプル〜  雪の中で凍える子犬のように首をふるけれど、ちがーう!頭撫でないで。  俺は本気で怯えてるの!  嫌な予感しかしない。 「ドイツに着いたら、郷に入れば郷に従おうね」  つまり、それって〜!?!?♠ 「君の陰毛は私が剃ってあげるよ」 「ギャアァァァァーッ!!」 「ボーボー陰毛の君には少しハードルが高いかな?じゃあ、ひとつまみだけ残してあげる。これなら恥ずかしくないね♪」 「厶ギャアァァァァーッ♠」  ひとつまみだけ残っている方が恥ずかしい!  プルプルプルプル〜  そんなアソコ、嫌だ。 「我儘はいけないよ。残すのは、ひとつまみのチョロ毛だけだ。それ以上は残さない」  宥めるように俺の髪を梳いた指が頬を撫でて、次の瞬間。  熱い両腕が俺の体をぎゅっと抱きしめた。  ドキンッ  鼓動が跳ねる。  熱い吐息が耳朶をすくう。 「私は空の守護者であると共に、君の股ぐらの守護者だよ」  ミギャアァァァァーッ♠♠♠  イケボの無駄遣いするなァァァーッ!!  変なニホン語ばっかり覚えて!!  このドスケベドエロ大佐ァァァーッ!!

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