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第27話
たたたっ!
たたー!
「あぁ」
『大佐』と呼べずに口をパクパクさせている俺に向かって、穏やかな眼差しをそっと落とした。
「君が気にしてるのは、この状態?」
こくこく!
「上空5千メートルの空は寒いよ。寝ている間に風邪を引いたら大変だよ」
大佐はスパダリだ。
スパダリだけど……
このスパダリ感は〜〜〜
「おっと」
バタバタバタ!
「急に暴れてどうしたの?」
正しい軍用機の乗り方ではありません!
「正しいよ。健康管理は重要だ。……ほーら、暴れない」
違う。この健康管理は間違っている。
「君が小柄で良かった。私の膝の上でぎゅっとできるよ」
ぎゅーっ
「キャアァァァー」
「君ッ!?」
プシュウウウゥゥゥ〜〜
「すごい湯気だよ。高度5千メートルで体温の放出は良くないよ。私がもっと暖めてあげるよ」
ぎゅーーっ
プシュウウウゥゥゥ〜〜!!
「君ィー!」
……俺、撃沈。
かつて撃墜王として世界の空軍を震え上がらせた空の守護者は伊達ではなかった。
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