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プロローグ
この物語が語り継がれるなら、それは皮肉で滑稽な様だろう。誰もが知る歴史には必ず裏があると知らない。
世界は広く狭いのだ…。
ちっぽけな世界。争いがあり、闘争心に狩られるのも家系が『殺戮神』という特殊な王族だから。
何時しか、神々は俺を見て“殺戮の桜”と呼ぶ様になった。
“殺戮の桜”ね…。
相応しい名だと思う。
『三神帝の殺戮の桜』と口揃えて云う者は怯え、恐怖を抱き始めた。愚かで、低能な輩共は思い知ればいいんだ。
狭い世界の中は常に弱肉強食だと。
俺の世界は、あの頃から全てが狂い始めた。あぁ、誰も知る由はないさ。
話したとして誰が信じる?
永き古から全てが偽りだった…。
軈て訪れる終章(エピローグ)の為に用意した舞台で醜い闘いが始まり、幕を落とす。
俺は…。
何時まで続ければいい?
周りを欺いて、生きて、隠し通して。否、結果がどうであれ、止められない宿命に哭かされるだけ。
転生しても、自分は自分なのだろう。
可笑しな話だ、おかしな茶番劇だ。
そうだろう?
四百四十年後の…。
―…自分(おれ)よ。
美しく、可憐に、散らす事が出来たなら、それは。
美味だ…。
醜悪の世界で生きると決めた俺なりの覚悟。
全ては…。
己の欲に飲まれた、哀れな糞爺のせい。
水鬼神に魅入られた者の末路を知らないからだ。
これ程までに、哀れと、感じたのは初めての経験で、俺は、泡沫の闇へと。
溶け込んでいきそうな感覚に、襲われた。
あの時も…。
感じた。
ぽとんっと、何かが落ちる音。
それは、何を表すのか、昔の自分には、解らなかった。
ー…だけど、それを知るのは。
ある男を、瞳に映した瞬間からだ。
身体に流れる血液という血液が一斉に、騒ぎ立てる。
あの男は。
蒼い魂を持った者。
近づけば、再び、悲劇が起きる。
そう、告げる様に、眠りへ、就くのであった。
俺は、夢の淵にある黒い闇を見つめながら…。
作り上げていく 、シナリオを。
並べて行った。
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