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5ー7
やはり、玄兎様の遣り方はえげつない。
隗坊っちゃまを怒らせる脳は天下一品だが、その後の処理を考えていない。
隗坊っちゃまを、怒らせたら、下級家臣なんて歯も立たないうちに全滅。
「隗、派手に散らかしたね」
ドアに、凭れる一人の男性が、冷静な瞳で隗坊っちゃまを映していた。
彼は、十五龍神の一人『赤龍』。名を紅霞と云う。別に隗坊っちゃまを怒る訳でもなく、静かに見ていた。
「で、今から三神帝の下級家臣の所に赴こうとしている主を止めないんですか?」
「悪いですが、俺は主を止める為に来たわけじゃありません。その後の工作をする為に来たんです」
「いいのか?紅霞…」
「水鬼帝の者には上手く誤魔化しといてあげるよ。その代わり、ちゃんと、明後日のパーティーには参加してくれ! 千綵様が『逢いたい』と云っていた」
「解ってる…」
おやおや、紅霞が隗坊っちゃまを止めないなんて珍しいですね。
自虐的になったら何時も止めるのに。
まぁ…。
只で、行かすハズもないのが十五龍神らしいですね。
条件は、ちゃんと、付ける。
流石、来世で、誓いを、交わして、一緒に、降りてくるだけありますね。
しかも、彼、十五龍神ではあるが、光皇帝の血筋も、引いているので、尚更、関わっているのに、意味がある。
『『十五龍神』が、一人『赤龍』。確かに、美しい形をした美青年だ。あれで、年上なのだから、驚かされる』
まぁ、驚きますよね…。
紅い髪を、靡かせながら、主の姿を、見ているのだから。
『昔々、三神帝は、殺戮神としての家系でありながら、ある、実験をしていました』
それは、想像を、絶する惨劇の始まりで、今となって、知っているのは、御上ぐらいでしょうか。
ー…否。
隗坊っちゃまぐらいでしょうか。
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