7 / 12
1ー1
その前に、現実逃避をしようとしている彼を、どうにかしなきゃんだけど。
ー…大丈夫ですわ。
『あ…』
で、出た!!!
母様の魔法陣。
古の血を使いし、強行手段。
あれ、レイィールを、魔界へと、案内する時空術。
『えっ、これ、何。アルィータには、見えてない?私だけですか!!!』
『多分、複雑な時空術。逆らえないわね…』
最早、お見合いしに来いと、言っている様なもの。
ー術が、知りたかったら、聞きにこれば早い。
ですから、そう、重なる時は、教えてくれませんか。
レイィールの妹のお見合い相手さん。
母様通じて、混じる術を使うのは、癖ですか?
“エセ”野郎…。
『私は、まだ、魔界へ行くとは、言っていません』
『貴方が、一度でも、母様の術を解けた事がありましたっけ?』
『…』
『諦めて、妹の変わりに、お見合いして下さい…』
それが、答えかの様に、魔法陣が反応する。
まぁ、逢って、彼の顔を拝むと良いですわ…。
磨き上げられた、とびっきりスマイルは、父様の真似をして。
出来上がったスタイルですから。
母様も、とんだ人を。
再従兄弟に、お持ちで。
魔界帝国を統べる“ブルブェニ”の家系に、ああいう人材が居るとは、初耳です。
私の記憶の中には、刻まれているのだろうか。
得意とする魔術を通じて、母様と混じるのは…。
如何なるものかと。
ー…それ、私に言っているのか?“リリー”。
他に、誰が居ますの?
というか、時空術を、発動させて、彼を、魔界へ案内とは。
ー…駄々を、捏ねられても困るわ。彼の妹は、賢いわね。
賢いというより、最初から、計画していた様にも見える。
だって、彼が“アラディーナ式”に、拘っているのを。
解っていて、手段に出ようとした。
緻密な計画を練っていなければ、無理でしょう。
兄であるレイィールに『お見合いしてきて』と、言うのは。
ともだちにシェアしよう!