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リリーの記憶の中に残るのは、大叔父様が、父様と、対峙している時だった。
あれは、母様のお腹に居る私を、殺された瞬間。普段、怒らない人が、本気で、怒ったのだ。
流石、魔界貴族最高峰、恐怖の大公と、言われているだけあって、力も膨大。
『根暗…いい加減に、諦めて下さい…』
『魔界貴族、最高峰なだけあって、手強いな』
『貴方が、レイナを、諦めてくれたら、何も、苛々する必要も無いし…力を、使う必要性もないのです…』
『魔族と、交わろうと、考えた結果が、御子を、死なせたと、思わないのか?彼女は、天界を統べる神王の愛娘。恋愛という戯れ言に…現を、抜かすから、奪われる』
そんな事、二人の前で、言うのは、失礼過ぎる。
私が、生まれられなかったのは、この、狂った大叔父が、居たからかも知れない。
しかし、力は、母様似だと、信じられる。
マシンガントークをしながら、歪みを作っていく癖。
ー…ふふふっ。
思い出しただけで、笑えます。
だって、私と、母様は…。
背負っている物が、違うけど、性格は、似ていますから。
そんな風に、感じたのは、やはり、大叔父を、あの世へと案内した時でしょうか。
『ちょっ、リリー』
助けを求めるレィイール。
最早、魔方陣を、解除する術はないので、身を預けるしかないでしょう。
ー…彼方に着けば。
何かと、歓迎されるだろうし。
許婚も…。
快く、紳士気に、対応してくれる。
『ですから、解けないのですから、購うのは、止めなさい…』
『其処を、助けてくれるのが、リリーの役目じゃないですか。僕は、天界で、やる事が』
『魔方陣の勉強なら、魔界でも出来ますよ。伝授してくれる母様が、居ますし、アラディーナの方式だって、もしかしたら、見つかるかも知れません…』
まぁ、気紛れな、母様が、方式を、教えてくれたらの話ですが。
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