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『何百、何千年とかかるかも知れない。だけど、俺は、魔方陣の方式を、仕上げてみせる』 確か、そんな、記憶があった。 母様も、見ていたし、間違いないと思う。 全知全能のアラディーナは、術式を、確かめながら、描いていた。 血の契約というやり方もあるらしいが、難しいと、聞く。それに、血の契約は、相手を、縛る。 ー…永遠に、切れない。 呪いの方法…。 それを、切る事が、出来るのも、母様だけ。 遠い記憶の中に、一度だけ、母様は、それを、切った。大切な息子の為に、因縁を。 『叔父様の材料にされるのは、嫌よ。あんな、残酷な真似が、出来るのは、嘗て“貪欲の神”と、言われていた神王だけですもの。平気で、肉親を、殺し、肉体を、取り入れる。例え、彼が、最初の被害者だとしても…』 小さな声で『ー…許してあげられない…』と、呟きました。 私は、時が来るまでの間、記憶を見る。 『レイィール、魔界に行ったら、感想を、聞かせて下さいね』 私が、暮らす筈だった魔界。 きっと、父様が、にっこりと、微笑みながら、色んな想い出が、詰まった物を、用意してあったのだろう。 お陰で、神の聖堂は、私が、生まれて使う筈だった物で、溢れ返っている。 あの世界を、創り出した母様は、私が、眠れる様にしていると、言っていた。 だから、弟の記憶とかも、置いてあるのだと。 私は…。 ー…“鎮魂の女神”だから。 その場を、離れる訳にはいかない。 せめて、レイィールと、対なる存在だから、繋がってはいたいのです。 『汝が、悩んだ時は、手を差しのべましょう。汝が、躓いた時は、話し合いましょう。全てが、全知なる神の源に、還る日が来るまで、私は、何時でも、貴方の味方だと、誓います…』 何時か、見てみたい世界がある。 だけど…。 叶うかは、解らない。 そんな日を、母様は…。 許してくれるのだろうか。

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