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『嘗ての神は、ある大事な事を忘れていました。時は、既に、来ている。だから、これを機に、一つの記憶を解放しようと思いました。それは、何時の時代か解らない。果たしたら、戦国時代かも知れない。ただ…解るのは、古の血が、目覚める音がする』
そんなのは、初めて聞きましたわ。
鎮魂の神殿を護っていて、一度も聞いていない。母様は、娘であるリリーにすら隠していた事実。
うん。
これは、確信しましたわ。
母様、暴挙ならぬ、元から、確定していましたわね。
『母様…これは、ご命令と、受け取って良いのですか?未来に、何があるのです…』
『-…秘密。だけど、損はしないですわ』
笑いながら誤魔化す姿は、相変わらず…。
だけど、解っていますのよ。
これが意味する物は、嘗ての創造神が関係しているのは。
私だって、鎮魂の女神という立場がある。故に、母様が残した記憶の玉には、嘗ての記憶があるのを知っています。
それは、開いてはいけない禁断(パンドラ)の箱。
この人は、何を考えているのだろう。
私が、眠っている間、色んな記憶に触れた。
どれも、鮮明で、繋がっている因果が、無償に、叫びたくなる時もある。
特に、エデンの園での出来事は、居たたまれないくらい苦しい判断だと思うわ。
母様は、私が知らない世界を見せてくれる。
けれど同時に、過酷な判断を下す場合もあるのだと、実感した。
この世界は、綺麗なだけじゃない。レイィールが、描く世界とは、少しばかり違う。
アラディーナ…。
彼の記憶は、少し。
ほんの少し…。
必死さを、感じられた。
四大元素を加えた魔法陣は、未来の為に編み出した物かも知れない。
『“レティア·シャル·デテイス”』
こんな感じだっただろうか。
久しぶりに、口にした気がする。
古代冥界語…。
随分と、口にしてなかったから、忘れてしまいそうになる。
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