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それは、ほんの始まり。 音を立てる歯車が、ゆっくり、ゆっくりと、廻り始めていた。 私が、生んだ一人の女の子。 名を『リンア』 意味は…。 ー…それは、綴られたページを見ていけば解るわ。 だって、あの子は、神と魔族の間に生まれた『異端神』。 禁断の愛により…。 命を授かった子。 白い花弁が、ヒラヒラと、小さな赤ん坊の周りに、落ちていく。 鳴呼…。 歓迎しているのか。 新たな命の誕生に…。 この『銀色の夢見る儚』という『リオトル』の國に、誕生した皇女を。 可愛らしい笑みを浮かべながら、父親と同色の双眸が、空を見つめている。 光の加減にもより、色が変わるのは、代々、受け継がれてきた証。 何時か、彼女が映す世界が、素晴らしく、夢が詰まった世界でありますように。 そう、願い。 小さな手を、握った。 光輝く世界が、もう少しで、夜の合図を鳴らす。 その時は、静寂に、包まれた闇が広がっていく。 夜には、夜の掟が存在するのは、何処の國も変わらないだろう。 ただ…。 『リオトル』の夜は、少し変わった感じがするのだと、教えておきたい。 この國は、夜のお伽噺が、流れていく。 幾千と越えた兵士達の活躍を綴った物語から、神と魔族の愛の物語。 そして。 ー…リンア。 貴女の物語も、また、此処に、綴られていく。 そうね。 タイトルを付けるなら『白き華の夢に包まれし、龍の物語』。 ある場所で、ある男性と、出逢い。 恋に発展していく話。 宿すのは、勿論、龍神の御子で、彼女には、秘密が、存在していた。 ー…それは。 光の御子として生まれた彼女の宿命が、廻り始めた合図でもあった。 しかし、其処で、一手間加えてしまう相手が、居るんだけど。 彼の登場は、まだまだ先の話。 その時が来るまで、この物語は、温かく、保管しておきましょう。 何時か、貴女が、その物語を書きたくなった時まで。

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