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第二章:白薔薇の花に、包まれし、夢語り。
ー聖界・リオトル・ティファの城・リンアの寝室
涼しい風が、開けていた窓から入り、白いレースのカーテンを、揺らす。
女性は、黙々と、何かを記している様だった。
『これは、とある男性が、唯一の龍族の血を引いている所から、始まる物語。私は…それに、携わるべく、母様の言い付け通りに、ある計画を、スタートさせようと、思う。
過去に、こんな破天荒な計画を立てる者は、居ないだろうな。多分、聖界を、探しても、私くらいだろう』
どうやら…。
ー…記しているのは、日記らしい。
「あぁ、そういや。聖界には、珍しい男性を、目にした事を、母様に言っていなかった…」
金色の長い髪を靡かせた、何処か、見覚えのある顔だったが。
生憎…。
私の、記憶の中に、残っていなかった。
『此処は?』
『聖界『リオトル』。此処は、他の國とは、少し、異なる場所故、他の神は、立ち寄らない筈だ…』
『ー…リオトル』
「そう、儚い夢を魅せてくれる世界。私の母が、創った國だ。で、ソナタは、此処で、何をしている…』
ほんの一ヶ月前の事を、思い返したリンアは。
『リオトル』では、珍しい男性を見た為に。
不思議で、仕方なかった。
男性といえば、聖界戦争で、亡くなった父親しか、知らない。
だからこそ、興味を、抱いたのは、言うまでもない。
それに…。
「美味しそうな匂いがした…」
ジュルリと、リンアの口元から、涎が垂れた。
「あ、ヤバッ…」
思わず、男性の事を、思い出したら、お腹が空いてきた。
こんな、だらしない顔を、母様に、見られたら。
怒られてしまう。
「だけど、彼が『リオトル』に、居た理由が、解らない。聖界戦争が、終わったとはいえ…敵は居なくなったとは、限らない。用心に、越した事は、無いだろう。父様、父様なら…この、國に、訪れた者を、どうしますか…?」
彼女は。
今は、亡き父親の写真を見て、話を掛けた。
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