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きっと、返ってくる言葉は、決まっている。 『この…國は、ソナタの母君が、創った國だから、歓迎されない者は、トラップだらけの空間に、迷子になるだろう。誰が、責めてきても良い様に、策は…打ってある…』 なんて…。 科白が、飛んでくる。 『リオトル』が、どんな國かなんて、辺りを見渡せば解る。 白銀の世界に、包まれ、儚い夢を見れる場所なのだから。 リンアは、再び、日記へと、視線を、落とした。 記憶の中に、残る事を、記していくにつれて。 少しばかり…。 面白い出来事が、起きそうな予感がした。 「夢の始まりは…何時も」 偶然で、必然が、結び付く。 「さて…母様に、何と、説明しようか」 名も知らぬ男性の事を。 この『リオトル』が、歓迎してくれるかも解らない身元不明の男を、私は、気に掛けている。 どうしてかは、解らないが、不思議と、運命を感じてしまうのは、私の中にある何かが、廻ってしまうのを、楽しみにしているからかも知れない。 『たまたま、遭遇しまして。彼からは、殺意を、感じませんでした』とか? やはり、此処は、間接的に、説明をした方が賢明だろうか。母様だと、後からバレたら、大変だから、素直に、打ち明けていた方が、彼も『リオトル』で、過ごしやすいだろう。 それにしても、何処の王族なのか。 貴族では無いのは、匂いで、解る。 だとしたら、有名所の王族なのだろう。 「何と言うか、真面目な父様を、垢抜けさせて、少し、都会の空気を馴染ませた感じの、所謂…」 ー…チャラい。 そいゆう言葉が、含まれた感じがする。 女性は、手にしていた万年筆を、そっと、置いた。 季節は…。 初夏だというのに。 涼しい風が、吹くもんだ。 銀色の長い髪が、微風に、吹かれ、舞い上がる。 にこやかに、微笑む彼女は、書いていた日記を、開いたまま、椅子から立ち上がり、部屋を、後にした。

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