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寛大過ぎて、涙が出てきそう。
「魔界に、急ぎで、お願いします」
白い封筒に、王族の烙印を押して、運び鳥に、お願いした。
聖界では、珍しくもない運び鳥。
少し、特殊な魔術で、作られている為に、彼方此方へと、飛んでいる。
下界で言えば、渡り鳥の様な存在。
「さてと、次は、森の改革を始めないといけませんわね。とりあえず、生物が暮らしやすい様に、湖を用意し、息吹を吹き掛ければ」
後は、勝手に、育つのを待っていれば良い。
『というか、普通に、私達を使えば早い気がする…』
「覗いていましたわね」
『ソナタの事なら、解る。どうせ、リンアに残しておきたい自然を、今から作り、ダンスをする白鳥とかを作り出すのだろう…。それは、乳母も、顎が大きく開く。何を、急いでいるのかは知らないが、魔界の方に嫁ぐなら、花嫁道具ぐらい送っておけ…』
「失礼ね!これから、色々とやるのよ。リンアに残したいのは、何も、自然だけじゃないわ。人との繋がりも、温かな温もりも、全部よ」
出てきたと、思えば、小言を言うアリィーア。
綺麗な炎色の髪が靡く。
『大体、リンアが、龍族の匂いを嗅いだら、どうなるか解っているだろう。あれ、食事だと思っているぞ…』
「その辺は、大丈夫」
まぁ、食べられるかは、判断するでしょう。
彼が…。
美味しいのかは、別として。
大死神の甥っ子である事は、変わらない。
『自信あるのがまた。流石、我が主…。抜かりない判断。リンアの為に…魔界へ嫁ぐと、決めたのは、今後の事を考えてからなのは解るが、彼方の心の寛大さに…私も、泣けてくる…』
あら、アリィーアにしては、珍しい。
何時も、威厳な表情で、相手側の事を言うのに。
『いくら、好意を寄せてきても、相手は、魔族。警戒に越した事は無い』と、言うのが口癖なのに。
相手の寛大さが…。
染みたのかしら?
どちらにせよ、良い兆し。
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