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アリィーアは、頭が堅い。 頑固って訳じゃないけど、規則に厳しいと言えば良いのか。 ー…ま。 そのお陰で、今の地位がある。 立派な闘神という立場が。 「泣けてくるのは、それだけじゃないから。洋服も、王族のを用意してくれるという…」 『連れ子だと解りながら、後継者として選ぶシステムを設けるとか、どんな殿方だ』 「容姿、爵位、財産を兼ね備えている魔界を統一している“ブルブェニ”と、深い関係がある一族の主。魔界帝国の統計に関係してる優良物件…」 『彼方側は、レイナの性格に、悩まされるのか』 失礼ですわ。 私の性格に、悩まされるのかは、非に等しい。 彼が、私に言う事は、解っている…。 『どうも、嘗ては』 という、科白が吐かれた時に、必然にも廻るのだろう。 「リンアの為に、考えた結果だとは言え。流石、亡き夫が選んだ相手…」 『…恐怖だ』 まぁ、あの状況を見ていたら、恐怖でしか無い。 彼が…。 自分が亡くなった後に、結婚するならと、選んだ相手。 それを、目の当たりにするのは、やはり、後なのかも知れない。 アリィーアが、恐怖というのは、亡き夫の性格を考えてからだろう。 「そう言われても、死人に口無しですし。あの人が、何を考えて、自分の後にと、選んだのかは今となっては…聞けないですわ。私は、リンアの今後を考え、残せる物は、残しておこうと、決めただけ…」 『聞いて、返ってくる言葉は、解っている。ソナタの亡き夫は、腹の中を見せたりしない曲者だろう。自分の身分すら、娘には明かさないド腹黒な男だ』 主の前で、吐くのは、どうかと思いますわ。 顔に出ないだけの…。 無表情男と、言いなさい。 これ、私が最初に、彼と、逢った時に感じた印象。 でも…。 いつの間にか、微笑むくらいにはなっていたのが、不思議。

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