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第五章:満月の夜に、溢れるは、雨の恵み。
ー聖界・ノンリアル・フリィーア城・庭
白いワンピースに、身を包まれた幼い少女が木の棒を、持ちながら、稽古をしていた。
それを、微笑ましそうに見ているのは、金髪の髪をした男性だった。
此処は、東の國『ノンリアル』。
北の國『アリアド』や、西の國『リオトル』とは、違い。少し、平和な匂いがするのが、特徴。
「こら、リュリ」
「あ、父様…」
炎色にも見える髪の毛が、ユラユラと、揺れる。
あの髪方は…。
本人の趣味なのだろうか。
カールをするなら、もう少し、柔らかい感じが、似合う。
まるで、男性が、やった様なヘアースタイル。
「母君にも、言われたであろう。剣の稽古も良いが、少しは、レディーとしての嗜みを、覚えるのも、勉強だと。こいゆう部分は、誰に似たんだ?と、聞いてやりたいが」
言わずと知れている妻に似てしまったのか。
はたまた、知らないだけで、自分似なんだろう。
「失礼ながら、父様、少年期に、入っていない娘に、レディーとしての嗜みを教える母様は、鬼です。紅茶の飲み方、お菓子の作り方、王族へ、嫁ぐ為の基礎を…」
「…」
娘の言葉に、彼は、ひや汗をかいた。
確かに、リュリの母親、つまり、男性の妻は、王族の仕来たりに、厳しい。
それは、彼女が、幼い頃に、母親から習った事だから、娘に、教えたいのも仕方ない事。
少年期も迎えていない童神に『レディーとは、常に…おしとやかにいなければならない。良いか?リュリ、私達は、王族の中でも、特別なんだ。父君みたく、チャラい人生を…歩んで欲しくない』と、教えても、半分は、男性に対して、嫌がらせだ。
『母様は、父様を見ると、涎が垂れています…』
『龍族とは、美味しい匂いが』
リュリに、突っ込まれて、慌てる訳でもなく、説明したがるあたりが、流石は『リオトル』の皇女。
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