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ー…ティアス・フィーリング・アポシリ。
「ん?」
何か、今、聞こえた様な。
ー…ティアス。
というか、母様の声音。
私は、思わず、辺りを、見渡した。
『覚えたおくと良い…。母君は、神出鬼没だから、鏡や、例えば、ティーカップから、ひょっこり、現れる場合がある』
少年期を、迎えたあたりに。
父様が、助言してくれた様な気もする。
「はっ…!忘れていた訳じゃないが、魔界に居る頃、家臣総勢で、探した時は、いつの間にか、玉座に居たし、普通に、玄関じゃなく、鏡から、帰って来た時も…」
私は、勢いよく、本棚から本を数冊、取った。
聖界に、居る頃は、お目に掛かれなかったけど、神の場合というより、母様の場合は、魔術や古語に関しては、お手のもの。
況してや、時空の事なら、浮かびながら、公式が言える天才だ。
『リンア、良いですか?古代冥界語は、貴重なんですよ。何時か、貴女が、触れられる時が来たら、開いてみる物語は、どんなかしら。フルフィ・アテンラス・デモアラス…』
その意味は、よく、理解するのに、時間が掛かった。
リュリが、生まれてから、閉じていた趣味部屋を、開くしかないだろうか。
夫にも、黙っている完全な私の趣味。
あれを…。
知っているのは、リリアンだけ!
「ティアス…」
國の名前じゃないのは、確かだ。
そんな國、聞いた事がない。
第一、聖界は、幾つかに分かれているのは、知っているが。他の國の事は、未開拓に、近い。
東の『ノンリアル』。
他の國とは、違い、平和そのもの。
民達は、豊かな感じで、此処を納める王を、崇拝している。
何でも…。
声が、イケボとか。
西の『リオトル』。
私の、生まれ故郷。
儚い夢を見られる不思議な國。
北の『アリドラ』。
年中、極寒の地で、険しいと、聞く。
其処に、龍族が、棲んでいる。
「ヤバッ、涎が…」
南の『タリトロン』。
今だ、情報が、不明。
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