31 / 59
5-10
ー聖界・リンダリア國・レインシャワー
夜空に浮かぶ、満月が、自棄に大きく感じるのは、此処が、聖界に存在する國だからだ。
神々が、訪れるのは、滅多に無い地とも言える。
「見つけた」
夕闇に、溶け込む黒髪が、風に靡く。
この、國の有名と言えば…。
オーロラか。
「というか、こんな遠い地方に居るなんて聞いていないぞ。アイツ、此処で、何をやらかそうとしている。よく、現夫が、許したな。俺なら、こんな場所まで来たりしない」
彼は、叫びながら、辺りを見渡した。
大方、この辺りに、結界でも張ってあるのが特徴であるが、相手が相手なだけに、用心するだろう。
景色が綺麗なだけで、こんな場所を選んだりしないのを解っていた。
一風、変わっていると言えば、湖の水が、宙に浮いている所。
解明されていない地方に来る癖は、抜けていないらしい。
『リオトル』創る時も、確か、無法地帯から開拓していった。
子供の事を考え、お伽噺に、出てくる様な世界を、三日で。
それが、彼女の凄い所。
ー…というか。
どうやって、トラップという名の空間を解く。
「えっと、昔なら『きゃあ、私の大好きな薔薇の砂糖漬けと、ラム酒に漬けられたコンフィチュッ。仕方ないから…開けてやりますわ』と、言っていたけっな。アイツの好物、少し、変わっているから、用意するのが大変だった」
何か、気分は、供えて、祈祷する気分だ。
國の秘密企業では、必要なアッシュ-ケースの中から、好きそうな食べ物を出してみた。
彼が、統一する『ノンリアル』名産のラムレーズンチョコ。
東の國から、取り寄せた梅を使った大福に、彼女お気に入り『燕尾服に、眼鏡、オールバックに、高身長の男性』が、作った特製プリン。
ついでに、願いを一つ叶えてもらう為に、持ってきた娘の写真。
ともだちにシェアしよう!