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「ご挨拶がてらに、紹介しようと思っていたのに、何百年も、消息不明になるから、挨拶させるの忘れていた」
あれから、彼女が行方不明になって、捜索されたのかは不明だった為に、聞いていない。
現に、レイナの娘は、母親が居なくなっても、然程、気にしていない様子だったと、聞いているが、実際は、亡くなった父親に、似ている部分があるのを思い出した。
居なくなるのは、日常茶飯事の為か、魔界でも、捜索願いを出していないのだろう。
だとしたら、あの、現夫は…。
心が、寛大だな。
妻が居なくなる癖を理解している様にも見える。
『父様?私は、幼い時にしか逢った事がありませんが『リオトル』を、治めている王妃は、大層、美人で、気紛れだと聞いております。そんな方が、私の願いを聞いてくれるでしょうか。いくら、父様と、昔の好だからと言って、生娘の願いを聞いてくれる様には、思いません…』
心配した表情で、娘は吐いていたのを、彼は、思い出した。
確かな、事情を話してはいないが、ノンとレイナは、幼馴染みの関係にある。
互いに、認めた関係が、其処に存在していて、誰もが触れられる領域じゃないのは、一目瞭然。
二人の時間は、庭に咲く、薔薇と、同じ様に、時間を刻んでいっている。
だからだろうか…。
薄々、感ずているのは。
「というか、折角、旅行に来たのだから、空間、開けろ!お前の娘、ナイスバディ-に、成長しているぞ。その、御子は、少し、父親似なのか、お転婆になっている上に…男気がする」
ちらりと、見た時に、不思議と感じた。
龍神の血を引いているせいか、特徴的な容姿を引いている。
炎色に、近いと言えば良いのか、紅い髪をしていて、瞳は、父親の遺伝が近いのだろう。
光の反射で、金色に、輝く。
一方、リンアの場合は、母親の遺伝のせいか、瞳が、異なっている。
アイツと、同じ意味を持っているのだろうか。
過去と、未来を司っている瞳。
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