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長年と憂いっていた事が、解決するかも知れないのに。
実家にも立ち寄らないもんだから、ついつい、彼の身体を、借りてしまったじゃないか。
こう、言えば良かったのか?
『ー…母君が、見つかった』と…。
しかしながら、リリアンは『何か、嫌な予感がします。あの、破天荒皇女、次は、何をしようとしている』と、吐いていたが、母親みたく、実験をしようとしていないよな。
ー…思わず、来てしまったが。
『ですから、出てくるかも解らないかも知れないと、言ったじゃありませんか』
鳴呼。
『大体、ディーラ-ア様のナルシスト姿を見て、何も吐かないアライラ様が、不思議です』
其処は、突っ込んであげるべきだったのか。
龍族最後の生き残りが、実は、凄く、ナルシストな上に、自分に酔っている姿を鏡に映していると。
『どうであれ、苛っとして、聖界に足を運ぶ貴方様の考えが、解りません。私は、レイナ様に、同情致します』
脳裏に、冷めた瞳をするリリアンが、浮かぶ。
鳴呼…。
これは、彼なりに、考えているのか。
別に、リンアの夫を、食べる訳じゃないのに。
そこを、考慮しての提案か。
『第一、レイナ様は、リンア様を、見捨てた訳じゃなく、成長させる為に、離れたのです。第一皇女ですよ。誰よりも…大事になさっていた。『リオトル』は、リンア様を護る為に』
それ以上は、言わなくても良い。
私にだって…。
自尊心がある。
アイツが、惚れた女神が、まさか…。
『お初目に、掛かります。聖界『リオトル』を、創った神“レイナ”です。以後、お見知りおきを。魔界貴族、最高峰『ティベール』の血筋を引く者。噂は、兼々…』
初めて、瞳に入れた時、冷めた目をしていた。
何と、美しい女神だと思った。
『私の妻は、ソナタの心を、踊らす存在か?』
隣に立っていた男は、困った表情をしながら、私に尋ねた。
ソナタの妻だと?
あんなに、契りを交わすのを、拒否していたのに。
豆鉄砲を喰らった。
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