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あの、無愛想な男が、妻を持つなんて。
『レイナ、彼は、アライラと、言う。これから、色々、世話になるかも知れない…』
『まぁ。でしたら、私共々、娘も宜しくお願いします。えっと、アライラ卿』
警戒心が解けたのか、彼女は、微笑った。
今、思い返せば、聖界戦争が、始まったのは、この頃が、切っ掛けかも知れない。
秘密は、罪の味…。
「話の内容的には、貴方様は、リンアを探していると」
「…素直に、出てくれば、ディーラーア王の事を、傷付けずに、済むのですが、趣味が趣味でして。実家に帰ってくれさえすれば、実験も、母親がやってのけた技も磨けるというのに」
リンア…。
ソナタは、母君から習いたい術があった筈。
転生の術は、難易度が高い。
故に、命を、落とすかも知れない。
それを、やって退ける母親は、凄い。
流石、天界を後々、統べる女神だけある。
しかしながら、ソナタの娘は…。
『雷神』の名を、襲名出来るのだろうか。
あの、気まぐれ女神が、慈悲を掛けるとは、思わない。
『可愛い子には、旅をさせろと、言うますし…。リンアが…成長するまで、済ませたい事があるのです』
この、私に、笑顔を振り撒く時は、企みがある。
魔界に、嫁いで来た時に学んだ…。
お付きの者は『アレの性格に悩ませる日が来るとは思っていたが、夫にも言わない企みが、恐ろしい』と、吐いていた。
つまり、頭を悩ます原因だと、誰もが知っていたのだろう。
術を使う時は、決まって、リンアが居ないのを確認していたから、時空の波に、巻き込みたくない一心だったかも知れないと、今になって思う節が何個かあった。
「私、思うのですが、リンアが、素直に、実家に、帰るとは思いません。娘が、小さかったら、それは、里帰りの一つもする筈ですが、此方に来てからは」
そんな、畏まった言葉を吐かなくても、リンアの性格を知っているなら、尚更だろう。
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