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「出て来なければ、ソナタが、火炙りの刑になるだけだ。彼女の行動次第で…命の重さを計れるのは、嫌いかね?」
まぁ、娘の行動で、龍族最後の生き残りを手に掛けるのは、好かないが、本当に、怒っていると言えば、解るかな。
式を飛ばすくらいは出来るだろう。
文を一通も寄越さない娘に、私は苛立ちを覚えた。
孫の顔を見せに来ない理由は、解っている。リンアの叔父が、関わっているから、早々、娘を連れては来れない。
しかし、孫は、目の前に居るディーラーア王の血が濃いと、捉えておくべきか。
お転婆盛りだと、手を焼くのは、解っているが、レイナの後を継いで『雷神』として、付くのは、まだまだ先の事だろう。
彼女が、國を創った場合を想定した結果を、残したら、孫娘は、立派な女神へと、成長する。
「そいゆう取引は、嫌いではありません。しかしながら…私は、リンアが、素直に、出てくるとは思えません。彼女の性格からして、趣味に没頭していたら、夫なんて…二の次ですよ」
半ば、呆れた表情を浮かべる。
娘の趣味に関しては、別に怒ったりはしない。
問題は、何処かで、聞いているのに、出てこないからだ。
餌を転がすのは、得意だが。
「此処は、素直に、出てきた方が、城を破壊せずに済むし。私が、魔界貴族という立場を使い、対等の立場で、話し合いが出来ると言うものじゃないのか?リンア…」
「ー…何か、彼女、やらかしたのですか?家臣からも、報告は受けていませんよ」
「一葉落ちて、天下の秋を知るとも言うし、兎に角、ディーラーア王、囮になって下さい。可愛い娘でも、お仕置きは必要でしょう…」
「権力で、動かして、私を捕らえるおつもりで?」
権力を翳して、一人娘を誘き出すやり方は、好きじゃない。
そんなのは、地位と名誉が欲しい輩が、尻尾をフリフリして、媚び売っている姿だけで、十分だ。
我が君主ですら、暴君じゃない。
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